ER2023(エコール老人会)も無事に終わり、また現実に戻るクリムゾン真鍋。
真鍋:そろそろ、中断している麻雀を再開しないといけないな。ココ茶の有効期間は8時間、レーサー岡谷さんが目覚めるまであと3時間、蒲田から羽田空港までは30分で行ける。全ては計画通りだ。
謎の人:おや、そこにいるのは真鍋さんではありませんか、久しぶりですな、15年ぶりくらいですか。
真鍋:おお、これはお久しぶり、服部さんではありませんか。蒲田だから服部さんにお会いするのも有り得る話だけど、ここでお会いできるとは思いませんでした。
服部:蒲田駅の西口にはよく来るよ。
真鍋:蒲田は以前大鳥居にあったセガの本社から近いですからね、セガ関係者がいまもたくさんいらっしゃいますよね。
服部:せっかくだから、ちょっと飲みましょうか。知ってる店がこの近くにあるので…。
真鍋:では、5分お待ちください、次のスケジュールを調整しますので。ということで、じぇーんに連絡、連絡…。
じぇ:マスター、そちらは順調ですか。あと3時間でココ茶の効果が切れて目覚めるはずですが、それまでに帰ってこれますよね。
真鍋:ここまでは順調だったんだが、ちょっと昔の大事な知り合いに会ってな、これから飲みに行くから、そちらに戻るのは4時間遅れる予定だ。
じぇ:4時間ですか、では、ココ茶を追加して、あと3時間眠らせておきますね。でも延長はこれが最後ですよ。ココ茶は危険ドラッグではないですが使いすぎるといろいろと差し障りがあります。
真鍋:わかった、気をつけよう、それにしても1時間足りないじゃないか、そのときは、じぇーんが代打ち頼むよ。
じぇ:イエッサー、負けた分はマスターの負担で…。麻雀はほとんどやったことないのですが安心して打てます。
真鍋:目覚めてから1時間後くらいには着くはずだから、それまでできるだけ負けの被害を少なく頼むよ。
じぇーんに、麻雀の調整を依頼し、ホッとするクリムゾン真鍋。
服部:段取りは付きましたか、では早速行きましょう。
服部名人とは、かつてインベーダーの腕が日本一といわれていた、伝説のインベーダープレイヤーである。スペースインベーダーの黎明期に、タイトーの服部名人としてゲーム界に君臨していた。
服部:デスクリムゾンが発売されたのが1996年の8月、あれから30年近い時間が経ったが、あっという間だったね。
真鍋:もう、そんなになりますか、当時セガでエコールの担当をしてただいたのが服部さんでした。服部さんのお力がなければ、デスクリムゾンはセガの品質管理に引っかかってリリースできなかったはずですね。
服部:そうそう、あれは相当なできだったよな、私以外のセガの関係者は全員、リリースに反対していたんだが、真鍋社長の熱意を感じたんで、周囲を説得してリリースにこぎつけたわけ。クソゲーとして叩かれるのは予想していたが、逆にそれで人気が出るとは全く想像外だった。
真鍋:そうなんですね、私は結構自信をもってリリースしたんですが、どうやら世間の評価は違っていたみたいですね。
服部:まあ、結果として世間に評価されたんだからいいんじゃないか。
真鍋:あれから30年近くゲーム作ってきましたが、どうやら私の代表作はデスクリムゾンになることが確定的ですね。
服部:代表作があるだけ、よいことだよ。
真鍋:以前、服部名人として有名だった服部さんは、ネット世界では行方不明の名人という扱いになっていますね、このあたりで服部さんの消息を公開していいでしょうか。
服部:それは問題ない、服部名人として有名だったのはタイトー時代、タイトーの服部名人として認識されていたな、その後サミーに転職してセガに出向していたが、サミーがセガを買収してサミーのゲーム部門とセガのゲーム部門が合併したときに、正式にセガに転籍したわけだ。
真鍋:まさに、ゲーム業界の激動を生き抜いてきた、ゲーム業界の生き字引とでもいいますか。
服部:セガでは最近まで、部長をやっていたよ。世間では行方不明と言われているみたいだが、セガで堅実に仕事をしてきたわけだ。
真鍋:そういえば、インベーダーの腕はいかがですか。何十年か経ったとはいえ、世界最高レベルの腕はまだ健在なのでは。
服部:腕もさることながら、スペースインベーダーはなかなかよい筐体が残っていないね、レバーの状態で大きくスコアも違ってくるし。
真鍋:そうですよね、ゲームにとってコントローラーの感触は大事ですよね。名古屋撃ちとかされてましたか。
服部:名古屋撃ちは、あまり趣味ではないね。1ドットの隙間を狙って、ギリギリ躱しながら、敵を倒すスタイルだった。
真鍋:ぜひとも、服部さんのスペースインベーダーのプレイを見てみたいです、レジェンドの腕をぜひ拝見させてください。
服部:お台場のジョイポリスのビル2Fにあるレトロゲームセンターにスペースインベーダーの筐体が現存しているらしい、それをプレイしてみようか。
真鍋:年が開けて、もろもろ落ち着いたら、ぜひレトロゲームセンターでインベーダーのプレイやりましょう。デスクリムゾンの有力プレイヤーとインベーダーで服部名人が対決とか、考えただけでワクワクします。
服部:我々は、ゲーム業界の黎明期からいろんな経験をし、珍しいエピソードもたくさんある、これを後世に残したいものだね。
真鍋:では、ぜひこのニンクリ物語でも、服部さんの経験を次世代に伝えましょう。きっとみんな喜ぶと思います。
蒲田で服部名人と久しぶりに話をするクリムゾン真鍋。蒲田の夜が更けていき、レーサー岡谷との麻雀のことをすっかり忘れてしまったクリムゾン真鍋。
いや、久しぶりに服部名人と飲めて嬉しかった。そういえば服部名人と写真とるの忘れたな。
ココ茶が切れたから、私が代打ちしておきますね。
じぇーんの代打ちに、かすかな不安を感じながらも、機嫌よく蒲田をあとにするクリムゾン真鍋。次回はついにレーサー岡谷との麻雀対決が始まるのか、