クリムゾン真鍋

第30回:鹿はシカトするべきか

クルムシ軍曹と古民家カフェに向かうクリムゾン真鍋。

クル:大船駅の大仏側はなんだか地形が険しいですね。横浜市の端っこなのに岩場が迫ってくる感じがあります。

真鍋:もともと三浦半島自体が、大陸大移動で別のプレートに乗っかって来たらしい。もともとの大陸と南から移動してきた大陸の衝突地点がここ鎌倉市。地形が複雑なため、源頼朝が鎌倉幕府を置くのに都合がよかったらしい。

クル:観音様がその雰囲気を更に加速している感じですね。で、観音様を右手に見ながら山を登っていくと…。そうそう、このあたりです。

真鍋:おお、これはまた、古風な民家。鎌倉時代から有ったんじゃないかと思うような格調高さだな。

クル:残念ながらカフェは古民家のとなりにある、古いビルの地下にあります。

真鍋:なんだ、古民家カフェと言うから古民家にあるのかとおもったら、古民家の隣りにあるビルにある古民家カフェってことか、なかなかややこしいな。

クル:これです、これ、このビルです。このホクユービルの地下です、さっそく入ってみましょう。

真鍋:なんだぁ、この階段はぁ。レンガ造りで苔とか生えていて、相当年季が入っているみたいだな。では、さっそく入るとしよう。

古い楓の木でできたドアをそっと開けるクリムゾン真鍋とクルムシ軍曹。眼の前には若い女性が爪の手入れをしながら映画を見ている。

クル:こんにちわ、また来てしまいました。エマさん。

エマ:いらっしゃい、昨日もきてくれたクルムシさんですね。一緒にいるのはお友達ですか。作務衣がお似合いですね。

真鍋:私が全日本クソゲー愛好会会長のクリムゾン真鍋である。

エマ:クソゲーですか…、愛好会ですか…、よくわかりません。

真鍋:あまり難しく考えないでください、適当に話してるだけですから。

エマ:私は絵馬、鎌倉女子大学の学生ですが、週に3回このカフェでバイトしてます。

真鍋:いま、大画面で見ている映画はフットルースかな、なかなか懐かしいな。まだ日本がバブル前で元気だった頃の映画ですね。

エマ:音楽がいいんです、ケニー・ロギンスのこの曲、聞いていると元気がでてきます。最近日本中、閉塞感がただよっているから、元気な音楽は楽しいです。

80年代の雰囲気を残したカフェを喜ぶクリムゾン真鍋。

真鍋:この店、なんて名前なんだろ、エヴァンスって書いているけど。

エマ:エヴァンスは元あったお店の名前です。今はディア・ハンターといいます。

真鍋:鹿狩りですか、アメリカでは鹿を狩るリアルなゲームが人気みたいですね。おおっと、そこにあるのはハウス・オブ・ザ・デッド2。

エマ:ガンシューティングの名作ですね。

クル:あれ、確か2000年頃にクリムゾン真鍋はデスクリムゾンOXをこの筐体向けに発売したんじゃなかったっけ。

真鍋:そうそう、ハウス・オブ・ザ・デッド2が稼働して数年経ったから、コンバージョンキットとしてデスクリムゾンOXをつくって載せ替えたわけだ。10年くらい前まではたまに地方の温泉旅館で見かけることがあったが、最近は全く見ないな。

クル:しかし、なんであれってOXなんですか。牛がテーマのゲームでしたっけ。

真鍋:いいところに気がついたね、最初はデスクリムゾンOX~牛はでません~というサブタイトルを考えてセガに提案したんだが、却下されたよ。牛はでません、と名前つけるなら最後に牛を出さないとダメですよって。それが伏線回収っていうことらしい。もともと牛は出なかったから無理な名前ということだ。

クル:そんな経緯があったんですね。

真鍋:ついでにその当時の越前康介の写真を載せておこう、パナソニックの購買課課長みたいな風貌だな。

エマ:お話し中に失礼します。ご注文は何にしますか。アイスクリームとかピザとかできますが。

真鍋:では私はバナナシェイクとパイナップルピザをくださいな、クルムシ軍曹は何にする。

クル:僕はブルーシールのパパイヤパイナップルにします。

エマ:パパイヤパイナップルはサーティーワンですね。では、それに近い色のブルーシールにしておきますね。

あたりをキョロキョロと見回すクリムゾン真鍋。ふと、店の隅っこにピンボールを見つける。

真鍋:おおっと、これはピンボールではないか。それも私がよくプレイしたゴットリーブのモンテカルロ。

ピンボールとは、左右のフリッパーをボタンで操作してプレイする筐体型のゲーム機である。村上春樹の有名な小説「1973年のピンボール」にその魅力が描かれている。「出典:近代芸無辞典より」

エマ:オーナーの趣味です、オーナーが昔から好きだったみたいですよ、ピンボール。

真鍋:そのオーナーって、どんな人なんだね。

エマ:オーナーは夜だけ来ます。といっても毎日ではないですが、気が向いたら来るって感じです。夜は殆どお客さんがいないので、ここを書斎の代わりにつかっています。

ピンボールをプレイしながら、クルムシ軍曹にいいところを見せようとするクリムゾン真鍋。

クル:ピンボールって結構奥が深い遊びなんですね、単純にフリッパーをバタバタさせるだけじゃなくていろんなテクニックがあるんですね。

真鍋:左のフリッパーから右のフリッパーにボールを渡すテクニックとか、フリッパーにホールドしたボールを確実にアッパーレーンに送り込むテクニックとか…。

クル:クリムゾン真鍋ってどのくらいの腕なんですか、ピンボールの世界では。

真鍋:残念ながら、中級の上くらいだな、どうもティルトの強度が体で覚えられない。

クル:ティルトって、台を揺すりすぎるとペナルティで操作ができなくなるやつですね。

真鍋:ピンボールを極めるためには台をどのように揺すって、アウトになるパターンのボールをセーフにするか。横に強く揺すればもちろん、セーフにできるんだがその時に立ちはだかるのがティルト。このティルトギリギリを攻めるテクニックが大事なんだが、私はどうもやりすぎる傾向がある。

クル:なんでもやりすぎるのがクリムゾン真鍋の特性ですもんね。

真鍋:どうも、新しい目移りする傾向がある。だから、初物には強いが継続力がない。

エマ:ディア・ハンターのオーナーはピンボール上手ですよ。以前プレイするのも見てましたが、1時間位ノーミスでプレイしていました。

真鍋:オーナーに興味があるな、どうすればオーナーに会えるんだい。

エマ:夜の10時頃に来てみてください。今夜はきっと来ると思います。

真鍋:ありがとう、気が向いたらオーナーに会いに来るよ。

1時間ほど、ディア・ハンターで寛ぐクリムゾン真鍋とクルムシ軍曹。バナナシェイクとパパイヤアイスを食べ終わり、店をでる。

クル:なかなかいい店でしょう。なんか落ち着きますよね。

真鍋:落ち着くのは落ち着くんだが、なんか、記憶の片隅に残っている過去の断片が頭をぐるぐる回っている。なんか不思議な感じだ。

クル:夜にディアハンターに行ってみれわわかるんじゃないですか。不思議な感覚の理由が…。

真鍋:そうすることにするよ。

僕はそろそろ神戸の家に戻りますね、大船楽しかったです。

アラビアンジュエルでもやりながら、不思議な感覚について考えてみるよ。

そういいながら、去っていくクルムシ軍曹を見送る真鍋。大船のゲームセンターでアラビアンジュエルをプレイしながらさっきのカフェについて考えるクリムゾン真鍋。

真鍋:しかし、どうも記憶が混濁しているな。ディア・ハンターでピンボールをやったときになんだか懐かしい感触を感じたんだが、それがなんだかわからない。記憶の一部が欠落しているのか、でも、石垣島で会ったクロニン軍団のことは鮮明に憶えているし…、記憶って一体なんだろう。

ふと気がつくと、アラビアンジュエルが放出モードになったのか、珍しい光景が。

真鍋:おお、なんと、青玉が3つも私のフィールドに来ている。これは珍しい。幸運の前兆か、不吉の前兆か、とにかく何らかの分岐が来ている気がするな。

記憶と記録、経験と必然、この世界が溶け始めているような感覚、そんな感覚の正体を考えながらアラビアンジュエルをプレイするクリムゾン真鍋。重大な分岐の日まであと41日。

第30回:鹿はシカトするべきか Read More »

第29回:セガプッシャーはおもろしろい。

4年ぶりの大船生活を始めたクリムゾン真鍋。懐かしい気分で大船の飲食店巡りをするのであった。

真鍋:大船はたくさん飲食店があっていいな、カレーの店もたくさんあるし、ラーメンに関しては個性的な店がたくさんある。

じぇ:こんなに色んなタイプの飲食店が密集している街は珍しいんですよね。

真鍋:私も、日本中のいろんな街に住んできた。飲食店が密集しているという点では、下北沢、町田、溝の口、これらの街はかなり狭いエリアに店が密集している。

じぇ:どの街がお気に入りなんですか、マスターは。

真鍋:一人で遊びにいくなら、下北沢。年齢層が若い街なので、文化的刺激をたくさん受けることができる。行く末の方針に行き詰まったら、下北沢にいって髪の毛を切って、昔ながらの銭湯に入る。それが終わる頃には悩んでいた命題もほぼスッキリと結論が出ている場合が多い。

じぇ:それはいい街ですね。他の街はどんな感じなのですか。

真鍋:町田は、カオスで混沌としている感じだ。小田急沿線で土地柄はいい場所なんだが横浜線と小田急が交差しているせいか、街自体がいろんな文化を分け隔てなく受け入れている感じ。

じぇ:文化的許容度が町田も高いんですね。

真鍋:下北沢が20代の街だとすると、町田は30歳過ぎてからいくと楽しいね。路地裏にとにかく美味しい店が多い。知っている人に連れて行ってもらったほうがいいけど、駅から少し外れの雑居ビルの上の方に素晴らしい店がさり気なくあったりする、それが町田だね。

じぇ:では、溝の口は…。

真鍋:溝の口については、いずれまた次の機会に説明するよ。それより大船だ。ここ大船は、駅前の狭いエリアにたくさんの美容院が密集していることでも有名なんだ。

じぇ:この赤い点が全部美容院ですか、20個はありますね。お客さんが来るのか心配になります。なにか理由があるのですか。

真鍋:調べたことないから理由は全くわからない。しかし、以前は資生堂の工場が大船にあったことと関係があるかもしれないね。資生堂の工場がなくなってまだ10年経ってないし…。

じぇ:大船って街として栄えてるんですか、寂れてるんですか。

真鍋:私も大船はそこまで詳しいわけではない。確かに、以前にあった松竹の撮影所がなくなり、跡地に三越ができたがそれもなくなり、資生堂の工場もなくなり、東芝メモリーもキオクシアに名前が変わったし、大きい企業で残っているのは三菱電機くらいになったしね。

じぇ:工場地帯から住宅エリアに変わったんですね。

真鍋:そういえば私が高校生の時に夏期講習に通った、代々木ゼミナール大船校もいつの間にかなくなっている。場所を調べてみたら、Y-SAPIXがある隣の広い駐車場が跡地らしい。全く気が付かなかった。

じぇ:代々木ゼミナールは、東進ハイスクールとの抗争に敗れて、ほとんど見なくなりましたね。

代々木ゼミナールとは、有名講師を擁して栄えていた予備校である。その後東進ハイスクールとの講師引き抜きなどの抗争により衰退し、2014年には校舎の大半を整理した。その後、中学受験のサピックスを買収したことにより、息を吹き返しつつある。 「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:昔、気に入って通っていた場所がなくなるのはさみしいものだ。じゃあ、そろそろ街を散歩してくるよ。

そういいながら、じぇーんと別れて大船の街を散歩するクリムゾン真鍋。

真鍋:せっかくだから、駅前のゲーセンでものぞいていくか、ゲーセン自体が絶滅危惧種だから、見かけたら入っておかないともう二度と見えなくなる可能性もあるよな。

ふと前をみると、クルムシ軍曹が4人がけのコインゲームに興じている姿を見かける。

真鍋:おや、クルムシ軍曹じゃないか。

クル:クリムゾン真鍋が大船にいったと聞いて、なんか興味があって、大船に来てみました。LINEで連絡すれば簡単なのですが、それじゃ単純すぎて面白くない。ということで、ゲーセンが好きなクリムゾン真鍋なら、大船一番のゲーセンで待っていれば、そのうち魅入られたようにやってくるかなと。

真鍋:まさに魅入られたように来てしまったわけだ、行動を先に人に読まれるのはあまり気分の良いことではないがな…。

クル:僕は気分いいです。で、いまやってるアラビアンジュエル、放出モード中で、思いきりコインが出てます。見学していきますか。

真鍋:アラビアンジュエルは、セガプッシャーの中でも名作と言われている筐体だな。稼働から10年以上経っているが、いまだに現役で稼働しているんだな。

クル:最近は、実質続編の「ホリアテ~ル」がセガから発売されたので、状況は変化しつつありますが。

真鍋:アラビアンジュエルは名作だから、その続編が出るのは理にかなってる、大歓迎だ。

クル:これ見てください、下のボール排出口にボールが溢れんばかりに溜まってます、凄いでしょう。

真鍋:たしかに凄いな、もともと上と下のステージに、ボールが32個あれば十分に戦える機械なんだが、排出口に10個以上溜まっている、しかも端っこに少しだけ姿が見えているのは赤の大玉ではないか。ゲージは1100枚を指しているから、間もなく1100枚のコインをゲットするわけだな。絶好調、クルムシ軍曹。

クル:放出モードが絶好調なのは確かですね。少し前に栄光学園の高校生が4人くらいできて、おおまけして帰りましたから。未成年は時間制限があるから、その後に放出モードがくることがわかっていても、店を退出しないといけない。その隙を狙ってプレイするのが一つの攻略法ですね。

真鍋:高校生からコインを巻き上げる、セコい戦術だな。

クル:コインゲームは、パチンコと同じ。誰かが負けて、誰かが勝つ仕組みですから、負けそうな人が現れる場所と時間帯に出没して、負けのおこぼれに預かるのが戦術なので仕方ないです。

真鍋:まあ、クソゲーがあって、素晴らしいゲームが存在する。ゲーム制作と同じだな。おおっと、いまガイド音声で、ビッグ・レッドジュエルげっとぉと聴こえたが…・

クル:溜まっていた玉が進んで、大きい赤玉のボーナスステージが始まったようですね。

演出デモをじっと見つめるクリムゾン真鍋とクルムシ軍曹。そして結果は…。

真鍋:あれ、100枚しか出ないぞ、1000枚出るんじゃないのか。

クル:最後の抽選に負けたみたいですね。どうやら放出モードが終わりに近づいて、回収モードに入ったみたいですね。小さく勝ち続けて1500枚くらい出ましたから、モードが変わるのは仕方ないですよね。

真鍋:そうか、偶然ではなく必然で100枚になったのか。クルムシ軍曹はなかなか頭が良いな。

クル:そろそろアラビアンジュエルは終わりにして…。そういえば、大船観音さまの近くに、古い民家を改造したカフェがあるらしいですよ、行ってみますか。

真鍋:吾輩はカフェには興味がない。

カフェだけではなく、ダーツや、ビリヤード、古いゲームなんかも置いているみたいですよ。

それなら行く行く、ぜひ行かせてもらおう。

アラビアンジュエルで大勝ちして気分良くゲーセンをあとにするクルムシ軍曹とクリムゾン真鍋。お気楽に大船生活を楽しんでいる二人だが、運命の転換期は徐々に近づいている。地球滅亡ではなく、大船生活の終了まであと、47日!。

第29回:セガプッシャーはおもろしろい。 Read More »

第28回:いきなり引っ越しとはどういうこと。

橿原神宮前のホテルでの麻雀が終わり、予想通りレーサー岡谷の一人勝ち。八熊伝が見つかったとハンター竜田から連絡があったので、竜田村に向かうことにするじぇーんとクリムゾン真鍋。

真鍋:厳しくも楽しい麻雀だった。じぇーんは麻雀楽しかったかい。

じぇ:めちゃめちゃ楽しかったです、またやりた~い。

真鍋:次の機会にはじぇーんもメンバーに入れておくよ、では、そろそろ自宅に一旦戻るとするか。チョモに電話して様子を聞いてみよう。

じぇ:まだ6時だから寝てるかもしれませんね。

真鍋:おはよう、おはよう、おはよう牛乳~。新しい朝が来ました、起きてください、チョモランマくん。

チョ:もう起きてるよ、今日は鉄緑会の定期テストだから、夜型に変えて夜中の1時から勉強しているから、そろそろ寝る時間だけど。

真鍋:それは、頑張ってるな。

チョ:それはそうと家で大変なことが起きてるよ。

真鍋:大変なことってなんだろう。詳しく話してくれないか。

チョ:話してる時間はないんだ、それに色んな事情があって詳しく説明するわけにもいかないんだ。とにかくクリムゾン真鍋は大船に引っ越ししないといけないことになったよ。

真鍋:ぎょえ~、なんでそういうことが勝手に決まっていくんだ、全く謎だ。

チョ:そういう生き方してるからじゃない、自業自得ってやつね。

真鍋:しかし、大船ね。大船といえば、チョモが香港在住中に、日本での拠点にしていた街だな。食べ物はうまいし、なかなか楽しい街だ。

チョ:そうそう、大船は楽しいよね、ということで僕はこのまま都内にいるけど、クリムゾン真鍋は大船に引っ越しよろしくね。

チョモランマ桐からの連絡で、急遽大船に引っ越しすることになったクリムゾン真鍋。目的地をハンター竜田の村から急遽大船に変更することに…。

じぇ:大船に引っ越しなんですか。大船ってよく知りませんが。

真鍋:大船はチョモの中学受験の時に日本での拠点にしていた場所なんだ。香港と日本を行き来しながら、長期休みにはサピックス大船校に通っていたんだ。

じぇ:そうなんですね。

真鍋:うちの一家は引っ越しが多いからね、色んな事情で日本全国を転々としているわけだ。おかげでチョモのサピックスも、下高井戸校をはじめに、西宮北口校、茅ヶ崎校、大船校と4箇所も転校したわけだ。香港小学校に在籍しながら長期の休みには日本に戻ってサピックスに通う生活だったわけだね。

じぇ:そんなに校舎を転々として問題ないんですか。

真鍋:サピックスは、他の塾と違ってすべての校舎が直営校なんだ、だから校舎を変わるのは比較的簡単。もといた校舎に申請を出せば、翌週には新しい校舎に行ける。

じぇ:それは便利ですね。

真鍋:ただ人気の校舎は店員オーバーで入れない場合がある、その場合は近くの校舎に入って、空きを待つという考えなんだ。

じぇ:なかなかおもしろいシステムですね。

真鍋:人気の大規模校である、東京校、成城学園校、自由が丘校、ここは1学年300人とか400人とかいて、クラスも25近くある。1クラスが定員15人くらいだから大規模校はクラスが多くなるね。

じぇ:どうして大規模校は人気なんでしょうか。

真鍋:それは、大規模校のほうが競争している感じが強いから安心感がある。ただ、人数が多くて塾の中で友人を作るのなら、小規模校のほうがいいよね。小規模校だと成績順のクラスもだいたい固定されてきて顔見知りができやすいが、24クラスもあると、似たような成績でも微妙にクラスが違うので、同じメンバーと仲良くなる機会が少ない。

じぇ:それはわかりましたが、マスターはなぜチョモくんの受験の4年前に大船校を選んだんですか。

真鍋:それは、良い質問だね。私のようなサピックス専門家しか知らない特別ない事情があるんだ。

じぇ:事情、ぜひ聞きたいです。

真鍋:首都圏の受験は、2月1日が東京、2月2日が神奈川とエリアによって同じ日になるように調整されている。そのため、自宅から通える範囲で、出題傾向が似ている学校を東京エリア、神奈川エリアで選んでおくと、2回チャンスがあるわけだ。例えば、開成中学と聖光学院は傾向が近いからセットで考えられる。

じぇ:なるほどなるほど。

真鍋:そのなかでも、麻布中学と栄光中学は、記述を中心にした思考力を大切にする入試を行っているので、この2校を受けるためには、少なくとも6年生の9月の時点で明確に志望校を確定させる必要があるんだ。記述中心の学校はかなり少数派だけどね。

じぇ:それからそれから。

真鍋:問題傾向がそっくりで、その対策もほとんど同じにできるこの2校だが、麻布は日比谷線広尾駅、栄光は横須賀線大船駅と1時間位離れている。東京西部に住んでいる場合は、どちらにも通うことができるが、東京でも開成のある日暮里エリアとか、千葉の渋谷幕張エリアからは大船に通うのは困難。ということで、麻布中学、栄光中学に愛が深い子供は、東京と神奈川の間に住んでいる場合は、この2つを候補にすると、勉強の負担が軽減される。

じぇ:なるほどなるほど。

真鍋:都内からすると、大船は遠いイメージがあるから、都内の校舎では麻布コースは設定があっても、栄光コースはあまり設置されていない。逆に、栄光の近くの大船校とか横浜校には麻布コースと栄光コースが併設されている。土曜日が栄光コース、日曜日が麻布コースと両方の勉強ができる。だから、大船校は特別に恵まれた校舎なんだ。

じぇ:なんだか眠くなってきました。

真鍋:もうすぐ終わるから、頑張って聞いてね。で、サピックスの都合もあるが、大船という街は、なかなか魅力的な街でね。三菱電機や資生堂、東芝系の工場や研究所があるので、駅前の飲食店がすごく栄えている。

じぇ:急に目が覚めました。美味しいお店がたくさんあるってことですね。

真鍋:そうそう、それに湘南モノレールを使うと、大船から江の島まで簡単に行ける。鎌倉や逗子や葉山にもJR横須賀線でスムーズに行ける。

じぇ:あれはなんですか、マスター。白くて大きな像が見えますが。

真鍋:どうやら大船についたようだな、あれが大船西口にあるランドマークの大船観音だ。

じぇ:なかなか目立ちますよね。目から謎の光線を発射しそうな感じです。

真鍋:観音様は眼力が強いよね。大船に住んだことない人にとっては、観音像は印象に残るよね。ただ、大船に住んでいると駅の西側にはあまり行く機会がない。観音像は西側にあるから、1年も住んでると全く意識しなくなる。それより、松竹の撮影所があったから、その名残のほうが楽しいぞ。我々と同じ人種の映画人が闊歩していた街、ゲーム制作者にとっては極めて住みやすい街だ。

松竹大船撮影所とは、かつて大船にあった松竹の撮影所であり、寅さんなどの名作を生み出した場所である。現在はイトーヨーカドーになっているが、中に作られたフードコートで讃岐うどんを食べていると、ふとそばを寅さんが歩いているような気になるから不思議である。 「出典:近代芸無辞典より」

大船駅を降り立ち、駅前を散歩するクリムゾン真鍋とじぇーん。

そういえば、大船にはめちゃくちゃ美味いレストランがいくつかあるが、きょうは私がお気に入りのイタリアンで飯を食っていこう。ということで、商店街の裏路地をぬけて・・・

真鍋:ここ、ここ、ここ、大船ブロッソのイタリアンは最高にうまい。

じぇ:しかし、大船にはいつまで住むのですか。マスターはホテルぐらしですよね。

真鍋:じぇーんは、都内でチョモと一緒に居てくれ、用事があるときは大船に呼ぶから、必要なものを持ってきてくれればいい。

いえっさー。銀座カレーとか必要ですよね。

大船での生活はタイムリミットが決まっているんだ、地球滅亡まで…、じゃなかった。大船生活最後の日まであと57日。

よくわからない理由で、突然大船に住むことになったクリムゾン真鍋。しかも謎のカウントダウンが始まる。このカウントダウンは何を意味するのか…。謎はさらに深まっていく。次回は、魅惑の街、大船の魅力に迫る。しかし、クリムゾン真鍋はいったいいつになったら新作デスクリムゾンのストーリーを書き始めるのか。次回に続きます。

第28回:いきなり引っ越しとはどういうこと。 Read More »

第27回:麻雀といえばあの人。

レーサー岡谷の清老頭で終わった半荘はレーサー岡谷の一人勝ちである。予定通りクリムゾン真鍋が最下位に沈み、巻き添え食ってマイナスに転落したぱぺぽくんもじわっと怒りをためている感じ。

真鍋:半荘3回め行きましょうか、次は岡谷さんを下ろすために、クルムシ軍曹、ぱぺぽくんも当たる相手をよく考えてくださいね。岡谷さんは、みんなで協力しないと倒せないので。

じぇ:私、岡谷さんの後ろで見ときます、なぜ強いのかその秘密を私も覚えたいので。

岡谷:いいよ見てて、でもワシの打ち方は特に変わった打ち方じゃないからな、違いがあるとしたら気迫だ、要するに気合が違うってことだ。

じぇ:なんか、気合を入れる方法があるんですか、普通にしているとそんなに気合が入らないと思います。

岡谷:それは、自分を限界まで追い込むこと、そうすれば不思議な魔性の力が湧いてきて、思い通りの手が作れる。そのためにワシはいつも車の運転でも限界を攻めて気迫を注入しているんだよ。

じぇ:車の運転と大きく関係があるんですね、それはすごい。

岡谷:勉強でもそうだ、ワシは高校、大学と、いかに勉強せずに合格するか、それをとことん追求してきた。ガリガリ勉強していい学校に入るのは当たり前、なにも感動を呼ばん。いかに勉強時間を極限まで絞り込んで空いた時間はパチンコで英気を養い、そうして麻雀に立ち向かう。そうすれば魔性の力を纏うことができる。

クル:クリムゾン真鍋、なんだか、俺って大変な人と麻雀してる気がしてきました、どうみても勝てそうな気がしない。

真鍋:それは、すでに君が岡谷マジックに毒されているからだ、気をたしかに持て。相手は鬼でも悪魔でもない、普通の人間だ。気迫に飲まれないようにな。

クル:じぇーんさん、さっきのココ茶、もう一杯いただけますか、なんかあれ飲むと心が落ち着くような気がして。

岡谷:ドーピングはチョンボですよ、男たるものインチキせず正々堂々と戦うのがスジであろう。

真鍋:正々堂々と戦って、岡谷さんの肥やしになるのが男の道ってもの。松本零士先生もおっしゃっている。男には負けるとわかっていても戦わなければならないことがあるのだ。今がその時、ためらわなくていい。

じぇ:そうですよ、ココ茶とかインチキしないで、壮絶に散ってくださいね、クルムシさん。

クル:はい、ではそうすることにします。

真鍋:じぇーんちゃん、私に普通のお茶をください。あと、ここのトレイは銀製で錆びやすいので、乾くまでしばらく持っててくれますか。

じぇ:ここで持っていればいいんですね。

真鍋:はい。

クル:では、二度ぶりで私がサイコロを…。ぱぺぼくんですね、次にふるのは。

ぱぺ:ぴきぴき、チンチロ。

岡谷:おお、魅入られたようにワシに出親が来たな、さすがぱぺぽくん、モノの道理がわかってる。ということで、アリアリで行きます。

真鍋:ぱぺぽくん、なんてことしてくれたんだ、岡谷さんがこれで疾走してしまうぞ。

ぱぺ:ぴきぴきぴき。

真鍋:テメーはそれでいいよ、仕方ない。タンヤオのみで8回連続上がって終わりにするよ。クルムシ軍曹も協力頼むよ。

クル:それがいい気配ですね。でも、こっそりクリムゾン真鍋が岡谷さんに役満直撃食らうところも見てみたい気もします。

真鍋:ヲイヲイ。

宣言どおり、鳴きタンばかりのせこい手で上がり続けるクリムゾン真鍋。あまりのセコさにレーサー岡谷の機嫌が悪くなる。

真鍋:クルムシ軍曹、それロンです。タンヤオのし、1000点です。

クル:またですか、せこい上がりですね。

真鍋:いいんだよ、岡谷さんを止めるのにはこれしかない。

クル:まあ、仕方ないんですかね、私としてはもっと気迫あふれる試合を希望なんですが。

岡谷:しかし、なんだかクリムゾン真鍋、絶好調だな。なにか不思議な力が取り憑いたかのように。

岡谷さんの言葉にぎょっとするクリムゾン真鍋。そのときぱぺぽくんが急に喋りはじめる。

ぱぺ:まだ麻雀やっとるんやんけ、さっさと麻雀終わらせて熊の謎考えよう。途中まで八熊伝読んだが、なかなか興味深い話があるやんけ。

真鍋:またでたな、ハンター竜田。いま大事なところだから邪魔しないでくれ。岡谷さんと戦うのは精神を集中せねばならん、いまはかろうじて踏みとどまっているところなんだが風水を乱されるといきなりバランスが崩れる。

竜田:なんや、またいつものインチキやっとるやんけ。どうせ、じぇーんちゃんに銀細工のトレイもたせて強いやつの後ろに立たせて、手牌をのぞくとかやってるやんけ、せこいことして勝っても意味ないから、さっさと払うもん払って熊の話始めるやんけ。

クリムゾン真鍋のインチキを竜田にバラされて挙動不審になるクリムゾン真鍋。

麻雀の不正行為とは、実力だけでは太刀打ちできない相手に対して、イカサマ技を用いて戦う先方である。スキルが高いとほぼ勝つことができるが、イカサマがバレた場合のリスクを考えると、物理攻撃への耐性が強いキャラクタ以外はむやみに用いるべきではない。 「出典:近代芸無辞典より」

クル:そんなセコいことしてたんですか、クリムゾン真鍋。まあ、驚きはしませんがね。

岡谷:ワシは実は知っておったよ、クリムゾン真鍋がセコい手を使っていることを。まあ、ワシの手牌は大事な部分は見えないようにしていたから大して役には立っていないと思うが。

じぇ:私のトレイがそんな意味があるとはぜんぜん気が付きませんでした。

岡谷:ということで、ワシが親だな。これからは伏せ牌で打たせてもらうよ。

牌を全く見ないで、伏せたまま打ち続けるレーサー岡谷。

クル:すごいですね、見なくても打てるなんて。

岡谷:それは車の運転でも同じだよ、つぎのコーナーから対向車がくるかどうか、見なくても心の目を開けばおのずからわかる。ということで、クルムシさん、それロンです。

クル:ぎえ。

岡谷:安いよ、安め振り込みだ。三色一盃口のマニガニです。

クル:鳴かないから安心していたら、そんな手を作っていたんですか。

岡谷:まだまだ、ワシは勝ち続けるよ、これはほんの序の口。

伏せ牌のまま勝ち続けるレーサー岡谷。特に2回連続で直撃食らったぱぺぽの様子がおかしい。

岡谷:ロンです、ぱぺぽくん、リーチドラ5、ハネマンです。

ぱぺ:ぴきぴきぴき。

クル:どうやらぱぺぽくんが怒りのあまり暴走を始めたようですよ、どうしましょうか。

ぱぺ:ぴきぴきぴき、ぴきぴきぴき、ドカン。

真鍋:あ~だめじゃないか、麻雀卓ひっくり返したら。これが有名なちゃぶ台がえしですね。どうやら電動卓のセンターの部分が床に落ちた湯呑と衝突して変形してる、そこ一番微妙な構造なんだけど。

クル:どうやら故障したみたいですよ、ボタン2つ同時に押しても蓋が開かなくなりました、ということでこの半荘は故障によりノーコンテストということで。

岡谷:それはワシが許さんよ、こういうこともあろうかと、普通の牌セットも用意してきた。それで続きをやろう。

段取りよく、黒いケースに入った普通の麻雀パイをテーブルに広げ始めるレーサー岡谷。

ということで、手積みで半荘を継続することになった4人。

クル:しかし、手積みで麻雀というのはいいですね、このかき混ぜる音が萌えます。

岡谷:ワシもそう思う、牌が混ざっている音はいいもんだね、クルムシ軍曹。

淡々と進む半荘、ぱぺぽくんが細かく振り込んだまま、ぱぺぽの親の順番に。

ぱぺ:ぴきぴきぴき。

岡谷:ええぞ、ぱぺぽくん、行ってええぞ。

ぱぺ:ぴきぴき、キョン。

クル:ええ。なんですって、もう上がってるって。

ぱぺ:テンホーです。

真鍋:あれ、いまなんかぱぺぽが普通に喋ったような気がするが…。

クル:ほんとテンホーみたいですよ、これ、どう見ても上がってます。ねえ、岡谷さん。

岡谷:他の人の目はごまかせても、ワシの目は誤魔化せんよ、これは積み込みましたね、電動卓ひっくり返して破壊して、手積みにしていきなりテンホー、これはインチキですな。

ぱぺ:いったいなんの根拠があってそんなことをいうんだ、状況証拠を積み上げても証明したことにはならん。

真鍋:こここ、この声は、ニンジャ花咲、そうだろ、花咲。

花咲:よくわかったな、俺が麻雀を心から愛しているのは知っているだろう、その俺を呼ばずに麻雀を始めるとは不届き千万。よって、俺はパペポを使って参加することにした。

真鍋:道理で打ち筋が急に変わったと思った。

花咲:さっきハンター竜田がぱぺぽに混信したときがあっただろ、あのときにニンジャの技で接続パスワードがわかったわけだ、それ以降はぱぺぽは意のままに操れる。

クル:岡谷さん、どうします。またメンバーが変わったみたいですよ。

岡谷:イカサマであろうと上がりは上がり、ワシは気持ちよく16000点払わせてもらうよ。それよりも、ワシはいま猛烈に感動している。最近手強い相手に恵まれなかったが、どうやらこの花咲という男、凄腕の雀士だな、強い相手とお手合わせするのは願うところだ。

クル:僕は飛びそうですよ。今回は飛びなしルール、とことんマイナスが溜まっていきますね。

ぱぺ:ぴきぴきぴき。

真鍋:あれ、ニンジャ花咲は戻っていったかな、ぱぺぽくん、サイコロ振ってね。

ぱぺ:ぴきぴき、ポン。

クル:あれ、また自五がでそうだったのに、なんか急に目が変わりましたよ、なんでだろう。

真鍋:それは、いま岡谷さんが見えないスピードでサイコロが落下する瞬間に風を送って目を変えたからだよ。秘技、賽の目返し。

ぱぺ:ぴき。

クル:ぱぺぽくん、いきなりドラ切りですね。では私もドラを切って。

岡谷:ではワシの番だな、積もって、おお、計算通りだ、チーホー、役満です。

真鍋:なんだ、またインチキか、やってられないな、この麻雀。

岡谷:積み込んだのはワシではないよ、ぱぺぽくんだ。テンホーになる予定の配牌をちょっと調整してだな、なんだかうまく行った。

ニンジャ花咲に乗っ取られインチキ技を炸裂させる麻雀ロボット、それすらも人間の技で跳ね返すレーサー岡谷。

クル:僕はいま、猛烈に感動しています。岡谷さん、素晴らしい。

じぇ:岡谷さん、凄いです。

まあ、岡谷さんと麻雀を始めた時点で負けることは決まっていたこと、特に驚きはせんな。

岡谷殿、貴君とはいずれ、直接相まみえることもあろう、その時の勝負を楽しみにしている。

結局、正攻法でもインチキでも麻雀ではレーサー岡谷に刃が立たなかったクリムゾン真鍋。麻雀はこれくらいにして次回は八熊伝の謎を解きにハンター竜田の村に向かうのである。

第27回:麻雀といえばあの人。 Read More »

第26回:麻雀はメンバーが大事

いよいよ、レーサー岡谷との麻雀にクリムゾン真鍋が参加、じぇーんのカタキを取ることができるのか。

真鍋:では、始めましょう。二度振りでぱぺぽくん行ってください。

ぱぺ:ピキピキ…。

真鍋:おやま、私が出親ですな、では、ルールを決めます。ナシナシ、東南、ワレメも無しで。

岡谷:ナシナシですか、ナシナシはチョンボじゃないか。

真鍋:岡谷さんがさっきのラストで、いきなりタンヤオドラ12やるから、安心してナシナシにできます。我がルール決めに一片の悔い無し。

岡谷:まあ、決まったものは仕方ないな。

真鍋:では、始めます。サイコロは5で自五、私の山から行きます。

クル:いきなり、自五とは、なんか積み込みましたか。なにかの本に書いてました、親がいきなり自五は怪しいって。

真鍋:大丈夫、これは全自動卓だから積み込みは無理だ、クルムシ軍曹の情報は30年古いんじゃないか。

クル:いつも、スマホでネット麻雀だけやっているので、積み込みって言ってみたかったんです、深い意味はありません。

ぱぺ:ピキピキ…。

岡谷:しかし、こういうときに限って、ドラがたくさん来るのに役がない。ナシナシはやりにくいな。

真鍋:それが狙いですから、しかたなかばい。

ぱぺ:チーです。

真鍋:あれ、ぱぺぽくん、ナシナシでそんなに鳴いて大丈夫かい。

クル:場を見る限り、萬子ためてるんじゃないでしょうか、無理ホンイツ、オタ風ですかね。

ぱペ:ポンです、7萬。

岡谷:やはり、ぱぺぽくんはホンイツかな。

ぱぺ:緊急着信あり、緊急着信あり。ぱお~ん、ぱお~ん。

真鍋:なんだなんだ、緊急着信とは、キトラ古墳にUFOでも着陸したか…。

ぱぺ:ワシやワシ、竜田やんけ、八熊伝がうちの蔵から見つかったやんけ、桐の箱に入れて大事に保管されていたから、問題なく読める。はやく取りに来るやんけ。

真鍋:なんで、ぱぺぽくんが竜田の代わりに話をするんだ。

じぇ:それは、ぱぺぽくんの親切機能で、近くのスマホに着信があった場合、Bluetooth通信で、ぱぺぽくんのスピーカーから内容を聞くことができる機能だそうです。

真鍋:ええ、それって、秘密の会話もぱぺぽくんに全部筒抜けなのでは、まずいぞ、それは。

じぇ:ぱぺぽくんが作られた時代は、まだチップに盗聴機能を組み込むことに規制がなかった時代なので、仕方ないですね。さっきも、私のママからの通話をいきなりぱぺぽくんが話し始めたときにはびっくりしました。

真鍋:どうりで、ぱぺぽくんは麻雀が強いはずだ、空中を飛び交う電波を全部味方につけることができるんだからな。ということで、どうだ、最後の7萬、ほら当たってみろ。

岡谷:なんと無謀な、クリムゾン真鍋はいつも気にせず危険牌を通してくれるから助かるな。

クル:すみません、それロンです。タンピン一盃口ドラドラ、ハネマンです。

真鍋:やれやれ、そっちから来たか。

ぱぺ:クリムゾン真鍋、メッセージは伝えたよ、ということで八熊伝のコピー、早く取りに来るやんけ。

真鍋:はーい分かった分かった、麻雀終わったらすぐに行くよ。ということで、1万2千点、もってけ泥棒。

ぱぺぽの新機能に調子を崩し、振り込みまくるクリムゾン真鍋。あっというまにオーラス。

岡谷:オーラスですな。今の持ち点は、クルムシさん+31、ワシ+5、ぱぺぽー20、クリムゾン真鍋-28。

真鍋:オーラスだ、ラス親は…。おやま、私と同じく負けているぱぺぽくんすか、ここは、素直に私が最後に役満でも上がって終わりたいものだ。

クル:なんか、静かにこのまま終わって欲しいですね。1000点とかで軽く上がることにします。

残り牌が12枚になったところで、岡谷が動く。

岡谷:1筒子、ポンです。

真鍋:なんか嫌な空気ですな。ナシナシで岡谷さんがポンなんて。

クル:ぼくが先に1000点であがるから大丈夫です。

真鍋:それを期待しているよ、岡谷さんを勢いつかせると後で困るしね。

くる:そうですね、では9筒子、切ります。

岡谷:ロンです、いきなり出ましたか、クルムシさん。やはり出ると思ってました。ということで、清老頭、役満で3万2千点よろしく。

清老頭=ちんろうとうとは、字牌を含まずに数字の1または9の3枚セットプラス頭2枚で揃える役満である。混老対々和はよく見る手であるが、清老頭はめったに見られる役満ではない。「出典:近代芸無辞典より」

くる:きゃ~、ホントですか、端牌を手の中にたくさん持ってたんですね、信じられません。

真鍋:クルムシさん、魅入られたように振り込んだね、こわいこわい。ぱぺぽくんはなんか感想はありますか。

ぱぺ:ぴきぴき。

岡谷:では精算しましょう、いまのでクルムシさん、飛びましたね。飛び-10入れてー41、ワシ+89、ぱぺぽー20、クリムゾン真鍋-28。

真鍋:やっぱり来ましたか、やはり岡谷さんは手強い相手ですね。

ぱぺ:ぴきぴきぴき。

ぱぺぽくんが怒ってるみたいですよ。次は本気出すと言ってます。

ぱぺぽくんも微妙に怖いな、変なチップとか入ってそうだし。

いきなり、レーサー岡谷が役満で疾走開始、ぱぺぽくんの逆襲はどうなるのか、荒れ模様の麻雀は次回に続きます。

第26回:麻雀はメンバーが大事 Read More »

第25回:橿原神宮で戦闘開始

クリムゾナーとのER2023、服部名人と久しぶりの再会を終えてそそくさと橿原神宮前のホテルに戻るクリムゾン真鍋。

真鍋:予定より1時間遅れで帰ってきた、予想以上にココ茶が長時間効いてレーサー岡谷さんとクルムシ軍曹が眠っていてくれればいいんだけど…。

恐る恐る部屋を覗くクリムゾン真鍋。その時、「ロ~~~ン」と元気のいい声が聞こえる。

じぇ:クルムシさん、その六萬、ロンです。安目だけど上がっておきますね。

クル:それですか、じぇーんさん、その前に三萬九萬の筋牌切ってるから安全だと思ったのに、五萬七萬のカンチャン待ちとは厳しいですね。

じぇ:筋牌ってなんですか、とにかく上がればいいんでしょ。

岡谷:そうそう、麻雀は上がってなんぼ、振込が怖くて麻雀が打てるか、クルムシさん、ビビったら負けですよ、ビビったら。

真鍋:みなさん、麻雀楽しんでますか。じぇーんも立派に代打ち務めてるみたいだね。

クル:じぇーんさん、酷いんですよ、さっきから僕に直撃ばかりで、なんか恨みでもあるんでしょうか。

じぇ:クルムシさん、他の2人にくらべて弱そうだから…、ついそちらから当たることになってゴメンナサイ。

真鍋:現状のスコアはどうなんだい。てっきり岡谷さんの一人勝ちかと思ったが。

岡谷:ワシは、安い手は上がらんよ、じぇーんさんは、3900とかの手を何回か上がって、今のところ+22でトップ、ワシとパペポは配給原点、クルムシさんが-20、そんな感じだ。

じぇ:そろそろ交代しますか、マスター。勝ち逃げで交代は気分いいですしね。

真鍋:ちょっと歯を磨いてくるから、あと1局打っといて。その後交代するから、トップを守っといてね。

岡谷:じぇーんさん、最後の1局ですな。勝ち逃げは許さんよ、最後にキツ~ィお仕置きを楽しみにしておいてください。

じぇ:キャー、怖い~。

最後の1局、パペポが親で淡々と進む。ホテルの歯ブラシで念入りに歯磨きをするクリムゾン真鍋。

じぇ:ポン、西も鳴いていいんですよね。

クル:おや、じぇーんさん、すでに南と北、鳴いてますね、まさか、東とか手の中に持ってませんよね。

じぇ:なんか、黒い字が書いているこれのことかな、内緒です。

クル:思いっきり喋ってますね。これは、やばい雰囲気だ。

じぇ:黒い字の牌が4種類揃ったらいいことあるんですか。

クル:それは四喜和といって、かなり危ない役です、中単騎とかで待たないでくださいね。さっきから直撃ばかり食らってるからなんか縁起悪いな。

そういいながら、赤色の中を切るクルムシ。

岡谷:くるむしさん、それはよく通したな、ワシも切りたかったが切れんかったよ、ということで、中。

真鍋:しかし、場が重いな、これまで二翻の役ばかりで上がっていたじぇーんが、四喜和とはね、頑張れじぇーん。

淡々と、局が進む、独特の緊張感で空気が重い、じぇーんが、ツモった牌をそのまま切ると。

岡谷:じぇーんさん、ロ~~~~~ン。それだ、それを待ってた。

じぇ:きゃ~、なんだか高そう。

岡谷:まんしゅうデス…。と言いたいところだが、実はもう少し高い、タンヤオドラ12、数え役満には一役足りん、ただの三倍満です。ということで2万4000点払ってください。

まんしゅうとは、岡谷さんが好んでつかうセリフである。普通に元気よくまんがんといえばショックは普通だが、「まんしゅうデス」と言われると恐怖でダメージが3倍になると言われている。麻雀の通が心理戦を有利に運ぶために好んで使う場合が多い。 「出典:近代芸無辞典より」

じぇ:せっかく細かく貯金していったのに、全部持っていくなんて酷い…。

岡谷:ワシは下手くそや、そこでドラをあと一枚待てんところが下手くそや。

真鍋:最終局で逆転するところが岡谷さんの麻雀の怖いところ。謙虚に下手くそと言いながら、これまで何回、痛い目にあってきたか…。

岡谷:まだまだ、これくらいは序の口、ワシはまだまだ勝たせてもらうよ。

じぇ:マスター、あとはよろしくお願いします。

真鍋:岡谷さんには逆らわないのが一番。

岡谷:ワシは怖くないよ、じぇーんさん、なかなか筋がいいな、また次の機会にもお手合わせ願おう。

岡谷さんに褒められるなんて嬉しい、またお願いします。

カモ一羽、完成って訳ですね。

真鍋:では、いよいよ私の登場ですな、久しぶりに岡谷さんと真剣勝負。岡谷銀行に預けてある私の諭吉兵、返してもらおう。

岡谷:いよいよ試合開始、腕が鳴るよ。

真鍋:私が出親なら、なしなしルールでやらせて貰おう、最終局のタンヤオドラ12をなにがなんでも阻止しないといかん。

ということで、蒲田でのクエストを終えて橿原神宮前に戻ってきたクリムゾン真鍋の前に、レーサー岡谷が立ちはだかる。はたして、身ぐるみ剥がれるか、レーサー岡谷を返り討ちにするか、次回に続く。

第25回:橿原神宮で戦闘開始 Read More »