クリムゾン真鍋

第24回:伝説の名人が登場か。

ER2023(エコール老人会)も無事に終わり、また現実に戻るクリムゾン真鍋。

真鍋:そろそろ、中断している麻雀を再開しないといけないな。ココ茶の有効期間は8時間、レーサー岡谷さんが目覚めるまであと3時間、蒲田から羽田空港までは30分で行ける。全ては計画通りだ。

謎の人:おや、そこにいるのは真鍋さんではありませんか、久しぶりですな、15年ぶりくらいですか。

真鍋:おお、これはお久しぶり、服部さんではありませんか。蒲田だから服部さんにお会いするのも有り得る話だけど、ここでお会いできるとは思いませんでした。

服部:蒲田駅の西口にはよく来るよ。

真鍋:蒲田は以前大鳥居にあったセガの本社から近いですからね、セガ関係者がいまもたくさんいらっしゃいますよね。

服部:せっかくだから、ちょっと飲みましょうか。知ってる店がこの近くにあるので…。

真鍋:では、5分お待ちください、次のスケジュールを調整しますので。ということで、じぇーんに連絡、連絡…。

じぇ:マスター、そちらは順調ですか。あと3時間でココ茶の効果が切れて目覚めるはずですが、それまでに帰ってこれますよね。

真鍋:ここまでは順調だったんだが、ちょっと昔の大事な知り合いに会ってな、これから飲みに行くから、そちらに戻るのは4時間遅れる予定だ。

じぇ:4時間ですか、では、ココ茶を追加して、あと3時間眠らせておきますね。でも延長はこれが最後ですよ。ココ茶は危険ドラッグではないですが使いすぎるといろいろと差し障りがあります。

真鍋:わかった、気をつけよう、それにしても1時間足りないじゃないか、そのときは、じぇーんが代打ち頼むよ。

じぇ:イエッサー、負けた分はマスターの負担で…。麻雀はほとんどやったことないのですが安心して打てます。

真鍋:目覚めてから1時間後くらいには着くはずだから、それまでできるだけ負けの被害を少なく頼むよ。

じぇーんに、麻雀の調整を依頼し、ホッとするクリムゾン真鍋。

服部:段取りは付きましたか、では早速行きましょう。

服部名人とは、かつてインベーダーの腕が日本一といわれていた、伝説のインベーダープレイヤーである。スペースインベーダーの黎明期に、タイトーの服部名人としてゲーム界に君臨していた。

ファミコン名人とは、ファミコンやゲームの黎明期にゲームに関して特別な能力を持ったプレイヤーが一世風靡した時代に現れた。服部名人は、スペースインベーダーの名人として名をはせていた。「出典:近代芸無辞典より」

服部:デスクリムゾンが発売されたのが1996年の8月、あれから30年近い時間が経ったが、あっという間だったね。

真鍋:もう、そんなになりますか、当時セガでエコールの担当をしてただいたのが服部さんでした。服部さんのお力がなければ、デスクリムゾンはセガの品質管理に引っかかってリリースできなかったはずですね。

服部:そうそう、あれは相当なできだったよな、私以外のセガの関係者は全員、リリースに反対していたんだが、真鍋社長の熱意を感じたんで、周囲を説得してリリースにこぎつけたわけ。クソゲーとして叩かれるのは予想していたが、逆にそれで人気が出るとは全く想像外だった。

真鍋:そうなんですね、私は結構自信をもってリリースしたんですが、どうやら世間の評価は違っていたみたいですね。

服部:まあ、結果として世間に評価されたんだからいいんじゃないか。

真鍋:あれから30年近くゲーム作ってきましたが、どうやら私の代表作はデスクリムゾンになることが確定的ですね。

服部:代表作があるだけ、よいことだよ。

真鍋:以前、服部名人として有名だった服部さんは、ネット世界では行方不明の名人という扱いになっていますね、このあたりで服部さんの消息を公開していいでしょうか。

服部:それは問題ない、服部名人として有名だったのはタイトー時代、タイトーの服部名人として認識されていたな、その後サミーに転職してセガに出向していたが、サミーがセガを買収してサミーのゲーム部門とセガのゲーム部門が合併したときに、正式にセガに転籍したわけだ。

真鍋:まさに、ゲーム業界の激動を生き抜いてきた、ゲーム業界の生き字引とでもいいますか。

服部:セガでは最近まで、部長をやっていたよ。世間では行方不明と言われているみたいだが、セガで堅実に仕事をしてきたわけだ。

真鍋:そういえば、インベーダーの腕はいかがですか。何十年か経ったとはいえ、世界最高レベルの腕はまだ健在なのでは。

服部:腕もさることながら、スペースインベーダーはなかなかよい筐体が残っていないね、レバーの状態で大きくスコアも違ってくるし。

真鍋:そうですよね、ゲームにとってコントローラーの感触は大事ですよね。名古屋撃ちとかされてましたか。

服部:名古屋撃ちは、あまり趣味ではないね。1ドットの隙間を狙って、ギリギリ躱しながら、敵を倒すスタイルだった。

真鍋:ぜひとも、服部さんのスペースインベーダーのプレイを見てみたいです、レジェンドの腕をぜひ拝見させてください。

服部:お台場のジョイポリスのビル2Fにあるレトロゲームセンターにスペースインベーダーの筐体が現存しているらしい、それをプレイしてみようか。

真鍋:年が開けて、もろもろ落ち着いたら、ぜひレトロゲームセンターでインベーダーのプレイやりましょう。デスクリムゾンの有力プレイヤーとインベーダーで服部名人が対決とか、考えただけでワクワクします。

服部:我々は、ゲーム業界の黎明期からいろんな経験をし、珍しいエピソードもたくさんある、これを後世に残したいものだね。

真鍋:では、ぜひこのニンクリ物語でも、服部さんの経験を次世代に伝えましょう。きっとみんな喜ぶと思います。

蒲田で服部名人と久しぶりに話をするクリムゾン真鍋。蒲田の夜が更けていき、レーサー岡谷との麻雀のことをすっかり忘れてしまったクリムゾン真鍋。

いや、久しぶりに服部名人と飲めて嬉しかった。そういえば服部名人と写真とるの忘れたな。

ココ茶が切れたから、私が代打ちしておきますね。

じぇーんの代打ちに、かすかな不安を感じながらも、機嫌よく蒲田をあとにするクリムゾン真鍋。次回はついにレーサー岡谷との麻雀対決が始まるのか、

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第23回:おおっと、大事なこと忘れてた。

橿原神宮前のホテルに戻り、おもむろに麻雀の準備を始める4人。

真鍋:麻雀するとして、道具を用意しないといかんな。でもそう簡単には麻雀セットは用意できないよな。

岡谷:大丈夫だ、ワシのRX-7は特別仕様でな、後部座席を移動すると、全自動麻雀卓が積めるようになっている。ほれ、これが、日本の誇る全自動麻雀卓、雀鬼だ。椅子もあるよ。

真鍋:なんとまあ、ただの走り屋のための車かと思ったら、密かに全自動麻雀卓を輸送できるように改造していたとは、恐るべし、岡谷はん。

岡谷:まあそんなもんだ、では、クルムシ軍曹も一緒に麻雀道具を部屋に運び込んでくれ。

くる:了解です、では早速。

じぇ:私、全自動麻雀卓って初めて見ました。ちょっとだけ、やってみたい気もします。

真鍋:だめだめ、じぇーんは、岡谷さんの強さを知らないから、そんな呑気なことが言えるんだ。身ぐるみ剥がれて、海外に売り飛ばされる未来しか見えないぞ。

じぇ:今でも、海外に売りとばされたみたいな状況なので、あまりかわりがありません。

真鍋:とにかく、絶対に駄目だ。おや、もうすでに準備ができてるな。最後にパペポくんを設置するとこれで完成だ。

レーサー岡谷、クルムシ軍曹、麻雀ロボットのパペポくん、それにクリムゾン真鍋と、4人のメンバが揃い、麻雀が始まろうとするところだったが…。

じぇ:マスター、そういえばマスターは覚えてますか。今日は年に一回のデスクリムゾンファン、つまりクリムゾナーが集ってミーティングを行う日、15時から招待されているはずでしたよね。

真鍋:ぎょえ、忘れてた。あと4時間しかない、ダブルブッキングだな、困った困った。

岡谷:麻雀はすべての予定に優先する、神聖なる遊び、抜けは許さんよ。

真鍋:どうしよう、じぇーん。ファンミーティングに行かないとファンクラブが崩壊してしまうかもしれないな。

じぇ:マスター、ここは、私に考えがあります、任せてください。

そう言いながら、お茶の準備を始めるじぇーん、美味しそうなお茶が次々と入っていく。

じぇ:皆さん、麻雀の前に、私の故郷で名物のココ茶をお召し上がりください、頭がスッキリして麻雀に勝つこと間違いなし。

真鍋:全員に飲ませたら、意味ないんじゃないか、全員のレベルが上がるだけだと思うが。

じぇ:じゃあ、マスターは飲まなくていいです、どうせカモになるんだから飲んでも飲まなくても同じということで。

真鍋:わかった、じゃ、ココ茶は絶対に飲まん。

暫く経つと、レーサー岡谷と、クルムシ軍曹の寝息が聞こえる。

じぇ:うまくいきましたね、マスター。これで8時間は目を覚まさないはずなので、その間にファンミーティングに行ってきてください。

真鍋:助かるよ、じぇーん。では、行ってくる。

近鉄特急を乗り継いで、関西空港に向かう、クリムゾン真鍋、ラッキーなことにちょうど出発直前の飛行機に乗り込むことができ、ホッとする。

真鍋:13時の飛行機に乗れた、羽田空港に14時15分には到着するな。で、クリムゾナーのミーティング場所はと…、なんと好都合、去年までは新橋だったが、今年は蒲田駅の近くだ、なんというラッキー。15時からだからなんとか間に合う気がする。

こうして、クリムゾン真鍋は滑り込みで、蒲田にて開催中のクリムゾナーのミーティング、ER2023に間に合ったのである。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

真鍋:ER2023の会場はここですか。

閣下:お待ちしていました、社長、じゃない、クリムゾン真鍋。いつも時間に正確ですね。

真鍋:そうだな、日頃から時間には余裕をもって行動し、遅刻して迷惑をかけないように30分前には着くようにしているからね。

閣下とは、ファンミーティングの取りまとめを数十年に渡って大阪さんとともに辣腕を振るってくれる、コンバット老人、別名デスクリ閣下のことである。

閣下:本日は皆さん、ER2023にお集まりいただきありがとうございます。ERとは、エコール老人会の略ですが、今年で23年目になります。

真鍋:エコール老人会も、23年になるんだな、デスクリムゾンが発売になったのが1996年だから27年前、月日の経つのは早いものだ。

大阪:今日のメインコンテンツは、ビーフンのフルコースです。越前康介の大好物、焼きビーフンにちなみ、すべての料理をビーフンで揃えました。

真鍋:それはすごい、ビーフン天国、英語でいると、ビーフンヘブン、なんだかゴロが良いな。今年のミーティングはビーフンヘブンの年として永遠に語り継がれるであろう。

大阪:では、早速料理を。

真鍋:おお、これはうまい、デスクリムゾン2で亡霊となって異界を彷徨っている越前様もお喜びになるだろう。

閣下:今回は、久しぶりにMatさんがズームで参加しています。

真鍋:おお、これは久しぶりMatくん。デスクリムゾンリンクは、ファンにとって重要なコンテンツだったね。

デスクリムゾンリンクとは、Matさんが作成したデスクリムゾン関連のコンテンツを集めたリンク集である。このリンク集によってデスクリムゾンはクソゲーでありながら、メジャー化の道を進むことになった記念すべきHPである。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:23年も経つと、みんないろんなことがあるが、こうやって年に一度、集まれるとは嬉しいことだ。それはそうと、秋はファンミーティングだが、春にはエコール主催でなんかサバイバル系のイベントをやりたいものですね。

閣下:それは賛成です。どこに行きましょうか。

真鍋:横須賀の猿島に行こうか、戦艦三笠を見学して、猿島で友ヶ島のようなムービー撮影場所を探索し、横須賀海軍カレーを食べて帰ってくるというのはどうだろう。

閣下:それはいいですね。

真鍋:閣下の賛同が得られたということで、じゃあ、来年の春頃にはサバイバルイベント、デスモンキーアイランドをやることにしましょう。

ということで、突然サバイバルイベントが開催されることになって上機嫌のクリムゾン真鍋。

真鍋:そういえば、チョモランマ桐も今回は一緒に来ているんだ、なんか挨拶しろ。

ちょ:こんばんは、私が麻布高校柔道部1号生のチョモランマ桐である。

真鍋:江田島平八風の挨拶だな、元気があってよろしい。

ちょ:プロフィールの写真が後ろ姿だったので、ここで撮った写真に差し替えましょう。

真鍋;おお、なかなか強そうでいいな。早く黒帯とってくれ。

ちょ:私が麻布高校柔道部1号生のチョモランマ桐である!!!

真鍋:せっかくだから、記念撮影しよう。チョモと私以外はボカシかけといたから。

集合写真も無事に撮影でき、このように大阪・十三の猫居酒屋と、蒲田の会場をオンラインで結んで和やかに進行するER2023であった。

今年はデスクリムゾンの守り神であるコンバット越前がまた大活躍することになります。

ユニティのプログラムをガンガン進めないといけないね。

ER2023のあまりの居心地の良さに、橿原神宮前のホテルで麻雀をしている最中なのをすっかり忘れてしまったクリムゾン真鍋。ココ茶が切れる6時間で果たして麻雀メンバーに復帰することができるのか、次回をお楽しみに。

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第22回:ここでそれが来るか!

橿原神宮前のホテルに泊まって、石舞台で踊る三匹の熊について考えるクリムゾン真鍋。眠れないまま、朝を迎える。

真鍋:どうも最近、身辺でややこしいことが多い。なぜだろう。ファイティングクライマックスのプロジェクトが終わって以降、静かに平和に暮らしていたのに、なぜ騒動が多いんだろう。

じぇ:もともと騒動が多かったんじゃないですかマスターの周辺は。でもこれまではマスター持ち前の鈍感力で気がついていなかっただけで…。最近のマスターは、鈍感力が減ってきている気がします。

真鍋:まあ、以前よりは周囲に気を使うようになってきていることは確かだ。昔はコンピューター無しブルドーザーだったのが、最近はコンピューター付き一輪車みたいな感じだけど。

じぇ:一輪車って見たことないです。興味ありますが…。

真鍋:こんな感じだ…。最近見なくなったな。

じぇ:凄い、カッコいい。

真鍋:じぇーんの趣味はもうひとつ理解不能だな。じゃあ、朝食を食って橿原神宮に参拝してくるよ、ここは神武天皇を祀った、日本の原点みたいな神社だから。心して参拝しないといけない。まずは、風呂に入って…。

風呂に入って身を清めて、朝食会場でもらってきた、茹で卵用の塩を全身にふりかけて身を清めるクリムゾン真鍋。

真鍋:しかし、凄いな、橿原神宮は。この荘厳さは、まさに日本の原点。ここから日本は始まったと言っても過言ではないな。明日香村には日本の心がたくさん詰まっている感じだ。

橿原神宮の威圧的な佇まいに感動するクリムゾン真鍋。

謎の人:おお、そこにいるのはプレジデント真鍋ではありませんか。お久しぶりです。

真鍋:(昔の名前で呼ぶとは、こいつは一体何者だ。)私は、今はクリムゾン真鍋だ。もう昔の名前で呼ばれても返事するのは最後にするよ。で、君は誰だ。

謎の人:昔はクルムシ二等兵と呼ばれていましたね、貴方に。もう15年くらい前ですが。

真鍋:おお、久しぶりじゃないか、クルムシくん、いまでも二等兵なのか。

クル:クルムシという名前は私が考えましたが、二等兵と決めたのはクリムゾン真鍋社長でしょう。

真鍋:じゃあ、せっかくだから、これからはクルムシ軍曹と呼ぼう。ハイドラGPでは随分と助けてもらったね。

クル:だいぶ忙しかったですが、楽しいプロジェクトでした。随所で開催されている格闘ゲームの店舗大会に勝手にポイントを付けて、商品と賞状をだす仕組みはなかなかうまく行きました。

Hydra GPとは、クリムゾン真鍋が2016年まで運営していたランバトの大会である。メルティブラッド、ファイティングクライマックス、アンダーナイトインバース、東方関連の対戦ゲームなどのランキングを独自に算定する仕組みである。 「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:諸般の事情で、ハイドラGPは最終戦を行えないまま、活動停止してしまったのが残念だけど、HPはまだ残しているし、いつか再開したいものだ。

クル:賛成です、そうしましょう。

真鍋:で、なんでクルムシ軍曹は橿原神宮にいるんだ。まさか、クロニン軍団の手先になって私を監視に来たとか。

クル:クロニンってなんですか。それにもし監視に来たなら、こっそり隠れているでしょう。クリムゾン真鍋に見られるということは、隠れているわけではないと思うのですが…。

真鍋:そりゃそうだ、相変わらず気が利くよね、クルムシ二等兵、じゃない、クルムシ軍曹は。

久しぶりの再会に、昔話に花が咲くクルムシ軍曹とクリムゾン真鍋。

ゴゴゴゴゴ、グオ、ガギャン。轟音ともに、橿原神宮の駐車場でRX-7が現れる。

くる:あの音は何でしょうか。

真鍋:あれは私の友人のレーサー岡谷が来た音だな、なかなか楽しいヤツなので、クルムシ軍曹にも紹介するよ。

岡谷:真鍋はん、そろそろなんかしましょか。メンバー集めるために箕面まで行ってきたが、今日はあいにく、秋祭りの時期でな。みんな神輿を担いだり、神木を運んだりで忙しいんだ。メンバーに心当たりはないかな。

真鍋:まあ、時期が時期だけに、みんな秋祭りで忙しいよな。

岡谷:で、ワシの知り合いが、大学でロボットの研究をしていてな、そこで作ったロボット、それが、このパペポくんだ、これを借りてきたから。なんでも、麻雀の相手をするためだけに開発されたロボットらしい。

真鍋:それって、寿司屋の受付でテーブル番号を発券していたペッパーくんによく似ているんだが。

岡谷:まあ、近い存在ではあるよ。ペッパーくんって故障が多いから、胡椒になって、ペッパーくんという名前になったとワシは考えているが、このパペポくんは、ほとんど故障しないらしい。なんせ、麻雀することだけに特化したロボットだからな、故障が少ないらしい。

真鍋:負けそうになったら、麻雀卓ひっくり返してリセットする機能とか付いてないよな。

岡谷:パペポくんと麻雀するのは、実はワシも初めてだ。強いのか弱いのかわからんよ。

真鍋:まあ、岡谷さんより麻雀強い人は見たことないから、パペポくんといえども、岡谷さんには完敗するだろ。で、メンバー三人だから、今日は三人打ちでやりますか。

岡谷:ワシは三打ちはやらんよ、三打ちはインチキだ、麻雀はありありの4人打ちだ。

真鍋:そりゃ残念、あと一人見つかるまで、麻雀は保留ということで。

なんとかレーサー岡谷との麻雀を回避しようと無駄な努力を続けるクリムゾン真鍋。

岡谷:それは残念だ、あと一人なのにな。一緒に来ているメイドのじぇーんちゃんは、麻雀できないんでっか。

真鍋:じぇーんは、英語圏で育ったから、漢字ゲームの麻雀は無理だと思う、ポーカーとかブラックジャックならできると思うが。

岡谷:そりゃ仕方ないな。ちょっと、トイレに行ってくるよ。すぐに帰ってくる。

化け物のように強いレーサー岡谷と麻雀をしなくてすんで、ホッとするクリムゾン真鍋。

くる:社長、僕、麻雀できます。麻雀格闘倶楽部で練習しましたから結構強いですよ。

真鍋:ダァ~、シ~ッ、余計なことを言うんじゃない。君は岡谷さんの恐ろしさを知らないからそんな気楽なことが言えるんだ。岡谷さんに聞かれたらどうする。

岡谷:クルムシさん麻雀できるのか、それは好都合。ぜひお手合わせしてもらいたい。

真鍋:なんで、そんなに早くトイレから帰ってこられるんだ。おかしいじゃないか。

岡谷:ワシの陰でこそこそ密談をしている真鍋はんの気配を感じたから、トイレは先送りにしたよ。やはりワシの直感は当たっていたようだ。地獄耳はワシの特技の一つだ。

クル:社長、まあいいじゃないですか、久しぶりに社長と会って、明日香村で麻雀できるなんて、よい機会ですよ。

岡谷:クルムシさんは、良い面構えをしている。きっと立派な雀士になるだろう。ぜひともお手合わせ願いたい。

クル:褒められると気分いいですね。さっそく始めましょうか。

岡谷さんの恐ろしさを知らない脳天気な人はいいな、なんて今日は不幸な日なんだ、ぶつぶつ。

岡谷さんが勝ったら、私はマスターのところを退職して岡谷さんに雇ってもらおうかな。

偶然が重なり、橿原神宮で4人メンバーが揃ってしまい、クロニン軍団との抗争も三匹の熊の踊りのことも忘れて、午前中から麻雀をすることになったクリムゾン真鍋。勝敗の行方はいったい…。

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第21回:越前の呪いが炸裂か。

橿原神宮前のホテルに戻ったクリムゾン真鍋とレーサー岡谷。

真鍋:なかなか良いホテルだな、岡谷はんは泊まったことあるのか。

岡谷:ここは、昔は橿原ロイヤルホテルという名前で、このエリア一番の高級ホテルだったんだ。最近は、ザ 橿原ホテルと名前を変えて少し庶民的になったから随分泊まりやすくなった。

真鍋:それはありがたいことだな、私のような庶民には助かる。

岡谷:せっかく明日香に来たんだから、麻雀でもしまひょか。ワシの知り合いを大阪まで迎えに行ってもいいよ。ワシは三人打ちはやらんからあと二人連れてくるよ。

真鍋:麻雀でっか、今日は石舞台で踊る熊の幻覚みたり、キトラの亡霊をみたりとなんか気ぜわしい一日だった、こんな日に岡谷さんと麻雀してもボコボコにカモられるだけだ、悪いがワシは先に寝るから今晩は麻雀は勘弁してくれないか。

岡谷:そら、残念だがしかたないな。ではワシは明日香の山々を走りに行ってくるよ。このあたりは適度に路面が荒れてて、テクニックがいるから暇なときに練習しとかんとな。さっそくワシは走りに行ってくるよ、そのあとパチンコでもしてくるからクリムゾン真鍋はのんびりしといてくれ。

真鍋:了解、助かるよ。さすが岡谷さん、人徳者は決断が早いな。

轟音とともにレーサー岡谷が橿原神宮の周辺をRX-7が疾走する走り音が聞こえる。

真鍋:やれやれ、麻雀がなくなって助かった、以前、岡谷さんにありありルールで鳴きタンヤオドラ12の役満食らったときから、岡谷さんには全く勝てそうな気がしない。もしやるとしても、なしなしルール、三人打ちだな。では、今日も9%のハイボール500mlでも飲んで寝るとするか。

ありあり、なしなしとは、麻雀のルールである。最初に親になる人がルールを決める場合があり、その場合はメンバーの打ち筋をみて自分に有利なルールを決めるのが定石である。「出典:近代芸無辞典より」

ピロピロピロ、メッセージの届く音がする。

真鍋:おや、珍しい、チョモからのメッセだな。とれどれ。

チョ:艦長、大変だ。今テレビ見てたら、艦長が昔作ったデスクリムゾンが出てるよ、なんかワンナップとかいいながら、見たことあるタレントの人がデスクリムゾンをプレイしてるみたい。

真鍋:艦長ってなんだ…。まあ、お父さんと呼ばれるのも中小企業の雰囲気が溢れてよろしくないよな。戦艦ニンジャクリムゾンの艦長だから、まあ艦長でいいことにするか。

チョ:見逃した番組はここで見られるらしいよ。ハマスカ放送部って番組らしい。

真鍋:どれどれ、チョモが送ってきたこのアドレスをタップすると…。おお、出た出た。綺麗なおねーちゃんがデスクリムゾンをプレイしとる。時代も変わったものだな、発売した時の叩かれようから比べたら、こうやって地上波でデスクリムゾンの画面を見る時代が来るとは。

ハマスカ放送部

感動のあまり、酒が弱いくせにハイボールを一気飲みする真鍋。

じぇ:私の国でもデスクリムゾンは有名です。街に一つはあるゲームセンターでデスクリムゾンのムービーを見たことあります。ゲームセンターと言っても、家庭用のゲーム機を一時間いくらとかで貸してくれる、マンガ喫茶みたいなところなんですが。

真鍋:それは便利だな、家の近くにも出来てほしいものだ。

じぇ:なんでも、ドローンの操縦の訓練するのに、デスクリムゾンのパッドプレイが役に立つって聞きました、ドローンの操縦士は人気の職業ですから。

真鍋:おやまあ、そんな使い方もあるのか、確かにあの鬼のように難易度が高いデスクリムゾンをゲームパッドプレイでアッシムの館まで到達できれば、ドローンで敵艦船を攻撃することも簡単にできるだろう。

じぇ:あ、このカミナリって人、テレビで見たことあります。茨城弁を喋りながら早口で喋る人ですね、面白いですよね、この人たち。確か片方の人がもう一人の人をポカポカ叩く芸をする人ですね。

真鍋:じぇーんが知ってるとは、それはよかった。そのうちカミナリの御二方にも会うことが有るだろう、じぇーんがファンだってこと伝えとくよ。

じぇ:サインもらってきてください、「じぇーんさん江」、、、って書いてもらえると嬉しいです。

真鍋:細かい日本語をよく知っているな、じぇーんは。えを江と書くところは昭和の匂いがしてなかなか良いぞ。

チョ:艦長、なんかVTuberの周防パトラちゃんもデスクリムゾンのプレイ動画上げてますね。凄い、最後までクリアしてデスビスノスを倒したみたいだ。

真鍋:それはよいことだ、ここにアドレス張っておこう。

周防パトラ

ちょ:結構たくさんの人が見てるんですね、パトラちゃん。再生が10万回越えてるよ。

真鍋:そういえば先月くらいから、昔の知り合いからやたらと連絡が来るようになった。これもハマスカ放送部やパトラちゃんのお陰かな。

チョ:第三次デスクリムゾンバブルが始まったって感じですね。

真鍋:これは、きっと越前康介の呪いだろう、20年近く放置してきたから、越前様がお怒りになっていると見た。だから、ここに来て急にあちこちの動きが激しくなっていると言うことなんだろう。

チョ:越前の呪いはなかなか怖いですね。早く鎮めないと…。

真鍋:そのためにも早くゲームを作らないとな。それはそうと、ユニティちゃんを使って画面上でモーションを動かす作業は進んでるのか。

チョ:今日は滝に行って冷たい水を浴びながら精神を鍛えてきたから、そのうち動くと思うよ。

真鍋:麻布高校はなかなかおもしろい行事をやるんだな。滝行とか、毎年論文とか…。去年のテーマは遠藤周作だっけ。

チョ:遠藤先生の代表作、沈黙だね。さすがに素晴らしい作品だった。

真鍋:読んだことないが、私も読んでみよう。

チョ:沈黙の舞台になったと言われるのが、この黒崎教会堂。一度行ってみたいな。

真鍋:ニンクリ物語が続いている間は、あちこちに行けるはずだ。そのうちに訪問してみよう。

チョ:中学生のころから大学生みたいな生活を体験させてくれるのが麻布の理念らしい、江原素六先生の教えがいまも息づいているよ。

真鍋:なかなか楽しそうな学校生活だ、さすがに中学生時代の三年間、勉強しないでひたすら遊び続けたわけだから、チョモもそろそろ世界に貢献する作品を作らねばならん。

チョ:そうそう、サターン版デスクリムゾンも盛り上がってきたし、制作を頑張って進めよう。そろそろ人型キャラを本格的に動かそうと思うんだが。

真鍋:エコールに存在するモーションデータは3d studio maxのBIPファイルばかりだからな。これをユニディで動く形式に早急に変換する必要があるな。

チョ:最近はブレンダーってソフトが主流らしいよ、高機能なのにほとんどお金がかからないからかなり普及しているらしい。

真鍋:そうか、ではBIPファイルをバイオビジョン形式に変換する方法でも調べるとするか。

チョ:そこは滝に打たれながらいいアイディア思いついたから大丈夫。じゃあ、作業に入るからこれくらいで。

チョモとの話が終わるとあたりがまた、静けさを取り戻す。ハイボールを飲み干すクリムゾン真鍋。

ここ半年くらい急に忙しくなって目が回りそうだ、ということで、今日の夕方に見た三匹の熊の亡霊の話は無かったことにしよう。では、寝るとしよ。

おやすみなさい、マスター。

都合よく、都合の悪い話は無かったことにするクリムゾン真鍋。明日はまたレーサー岡谷とともに、明日香村を縦横無尽に走り回る、長い一日が始まるはずである。次回に続きます。

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第20回:明日香の歴史は世界の終わり。

レーサー岡谷の超人的な運転で、夕方に明日香村に到着したクリムゾン真鍋とじぇーん。

岡谷:着いたよ、真鍋はん。暗くなる前に到着してよかったな。

真鍋:さすがレーサー岡谷、相変わらず時間の使い方は厳しいな。

じぇ:もっと乗っていたかったです、岡谷さん。

岡谷:いつものことだ、褒めてもらうほどではないよ。

真鍋:ではさっそく石舞台を見学に行くことにしよう、3匹のクマが石舞台の上で踊っているはずだし。

じぇ:あれ、マスター、入場は4時45分までですよ、今が4時47分。ということはもう入れないのでは…。

真鍋:それは残念だが、仕方ないな。ハンター竜田がいたら交渉して入れるようにしてくれたかもしれないが、メンタルプリンの私では打つ手がない。

じぇ:マスターは、図々しいところと小心なところの両方がありますもんね。ここは、ノミの心臓がでたということで諦めましょう。

真鍋:まあ、そういうことだ、で、じぇーんにはなにか良いアイディアがないのか。あらかじめ用意してあったドローンを石舞台に飛ばすとか。

じぇ:今回、ドローンは持って来てません。この近くにあるキトラ古墳なら完全に屋外だし夜でも入れるはずです、そこに行きましょうか。

真鍋:それは良い考えだ、しかし、前から疑問だっだんだが、なんでキトラなんだ、そもそも古墳がカタカナというのも理解できん。

岡谷:ワシから説明しよう、ワシは歴史には詳しいからな。で、キトラというのは亀と虎、ここから来ている。亀虎がキトラ、そんな感じだ。

じぇ:亀と虎でキトラなんですね、勉強になります。

岡谷:古代中国から伝播した四神は、亀・虎・龍・蛇を指すんだが、亀と蛇がからんで玄武、それに白虎、青龍で構成されている。キトラ古墳の近くにある高松塚古墳には壁面に四神の絵があって有名だ。

真鍋:そうか、それでキトラなんだな。よくわかった。では、早速キトラ古墳を見に行こう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

レーサー岡谷の運転で、5分もかからずにキトラ古墳に到着する三人。

岡谷:到着したぞ、ワシはここで車のメンテナンスしておくよ。アドバンタイプDはトレッドに石を咬みやすいから取っておかないといかんよ。

真鍋:マイナスドライバーを用意してるとは準備がいいな、さすがレーサー岡谷。

じぇ:では、行きましょう、ここも急に閉まるかもしれませんし。300メートルほど先の斜面を登ったところにキトラ古墳があるはずです。

斜面を登り、キトラ古墳の前に到着するじぇーんとクリムゾン真鍋。

じぇ:到着しました、早かったですね。では私は、先にRX-7のところに戻っています。マスターはゆっくりとキトラ古墳を見学してください。

真鍋:なんだ、さっさと帰るのか。要するにじぇーんは車が大好きで、特に人気の旧車、RX-7が気に入ったわけだな。また一人になったみたいだ。

ぶつぶついいながらキトラ古墳の前に座り込み、下から古墳を眺めるクリムゾン真鍋。

古墳を前に急に睡魔に襲われ、うたた寝を始めるクリムゾン真鍋、しばらく時間が経過してふと、目が覚める。

真鍋:これはいかん、朝からの移動と、レーサー岡谷のハードな運転で疲れが溜まって眠っていたらしい。じぇーんとレーサー岡谷は大丈夫かな。

立ち上がろうとするが、金縛りにあったように動けないクリムゾン真鍋。すでに暗くなったキトラ古墳の、闇の中から謎の声が聞こえる。

謎の声:クリムゾンマナベ、オマエハナゼココニキタ、オマエニハカンケイナイバショ。

真鍋:その声は…、なにか聞き覚えがある、なんだろう。

謎の声:キュオーン、グォ。

真鍋:思い出した、これはデスビスノスの声、なんで現れたんだろう。

デス:オマエハヨケイナトコロニアラワレスギル、サッサトシネ。

デスビスノスとは、サターン版デスクリムゾンに登場するラスボスの名前である。真鍋が書いた小説「フリーズ」で倒されたはずだがまだ生きているという説もある。「出典:近代芸無辞典より」

デスビスノスが腕を上げると、黒い光がクリムゾン真鍋の周囲を包む。

真鍋:ぐぉー、なんだ、この黒い光は。そして、先に見えるのは…、なんと石舞台の上で三匹のクマが踊っている、あれが八熊伝に書いているという世界を終わりに導く熊なのか。

「しっかりしろ、クリムゾン真鍋」。突然足元から声が聞こえる。

真鍋:この声は確か…。

花咲:お前は幻想に支配されている、キトラ古墳の地下にはかつて、デスビスノスの一派が根城としていた軍事施設が置かれている。その名残でお前は幻想を見ているだけだ。気をたしかに持て。

真鍋:これは、花咲、助けに来てくれたのか…。どうしてここが判った。

花咲:ふっ、ニンジャのネットワークを舐めるんじゃない。怪しい動きはすぐに私のところに報告がくる。そして、速やかにそれに対応するだけだ。

真鍋:では、花咲はここにいるわけではないのだな、どこにいるんだ。

花咲:私はココモリ村にいる、そこから君の意識に直接話しかけている。といっても君のスマホに電話しているだけだがな。

真鍋:なんだ、超能力の一種かと思ったが、スマホで話ししてるんだな。そういえば、足元に落ちているのは私のスマホ、OPPO7Aだ。

花咲:21世紀とはそういうものだ。それより、石舞台で踊っている熊は写真に撮れないか、デスビスノスの意識に影響されているクリムゾン真鍋なら、撮影可能かもしれない。

真鍋:やってみよう、かしゃ、ぴしゃ、ぽんぽこりん。どうやら撮れたみたいだ。さすがOPPO7A、夢を撮影できるとは、不思議な機能が搭載されているな。

花咲:それは良いことだ、戻ってきたらその写真を分析することにしよう。

一つ教えてくれ、私がみた石舞台で踊る三匹の熊は、過去なのか、未来なのか、それとも…現代なのか。

それは、過去であり、未来でもある、現代ではない、それが答えだ。

デスビスノスの幻覚でさらに混乱するクリムゾン真鍋の意識。当初の計画であるゲーム制作が、とんでもない方向へと進展している現状にクリムゾン真鍋のノミの心臓と、プリンのメンタルは果たして耐えられるのか、続きは次回で。

第20回:明日香の歴史は世界の終わり。 Read More »

第19回:飛鳥を訪ねて200キロ。

とりあえず、八熊伝の手がかりを求めて今後の方針を確認するハンター竜田、クリムゾン真鍋、そしてじぇーんの三人。

真鍋:相変わらず探していた手がかりはいつも身近な場所に…、まさかハンター竜田の実家の蔵にあるとは考えなかった。

竜田:うちの蔵はブラックホールみたいに先祖代々、徳川家光の時代から受け継いだ由緒正しい宝物を保管しているわけで、探すのも一苦労やんけ。

真鍋:探し物は手の中にある、いわゆる青い鳥理論が今回もさく裂したわけだ。

竜田:さてと、じいさんがとっておいた八熊伝のコピーを探すには、少なくとも1週間はかかるはず、二人で探してもいいんだが、蔵は埃っぽくてシロートが立ち入るとくしゃみばかりすることになるから、ここはワイが探しておくやんけ。

真鍋:それはありがたい。私はハウスダストアレルギーだ、アレグラを飲んだとしても酷いくしゃみに悩まされるだろう。

竜田:そういえば、さっき思い出したが昔読んだ八熊伝の話だが、本のちょうど真ん中あたりに三匹の熊が満月の夜に石舞台で踊り狂うという熊祭りの話があったやんけ、石舞台は話の流れから明日香村だったやんけ。

真鍋:ほほう、それは耳寄りな話だ。ハンター竜田が蔵を調べている間、退屈で困ると思っていたが、私は明日香村の石舞台でも見に行ってイメージを掴んでくることにするよ。

じぇ:私もお供します。石舞台には前から行ってみたかったので。

竜田:では、ここでいったん解散。一週間後に竜田村で会うやんけ。

あっというまに荷物をまとめてフサキビーチリゾートから旅立つハンター竜田。じぇーんとクリムゾン真鍋も、石舞台を目指して伊丹空港へ向かう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

真鍋:着いた着いた、伊丹空港、結構時間かかったな。

じぇ:違います、マスター。ここは伊丹空港じゃなく、岡山桃太郎空港です。

真鍋:なんで伊丹空港じゃないんだ、納得いく説明をしてもらおうじゃないか。

じぇ:ホテル出発までマスターが慣れない9%のハイボールを飲んで寝てしまったので、伊丹行きの飛行機に乗れなくなりました。で、ちょうど乗り継ぎで岡山桃太郎空港行きのルートがあったので、それを選んだのです、だからいまは桃太郎空港にいます。悪いのは私ではありません、マスターが悪いんです。納得できましたか。

真鍋:ああ、納得したよ。ただ、この桃太郎空港は交通の便が良くない、どうやって石舞台に行くかだな…。

よく寝たので機嫌よく桃太郎空港からの経路を考え始めるクリムゾン真鍋。

謎の人:よお、真鍋はん、久しぶりやないか、ワシのことを覚えてるか。

真鍋:もしかして、君は岡谷教授…、たしかに岡谷教授だ、懐かしいな。

岡谷:ネット眺めてたら、クリムゾン真鍋がニンクリ物語ってのを始めたって情報があって、読んでみるとなかなか楽しそうなことをしているから、ワシも参加しようと思ってここで待ち伏せしてたんだ。どうや、ワシも一丁噛んでいいか。

真鍋:それは心強い話だ、君の実力はよく記憶に残っている。きっとその力が役に立つときがくるだろう。

じぇ:この岡谷さんは、どんな能力を持っている人なんですか、マスター。

真鍋:それは良い質問だ、岡谷教授は、一言でいれば勝負師、得意なジャンルはレースとマージャンとパチンコだ。この3つのジャンルに特殊な能力を発揮してきたのがこの岡谷さん。特にマージャンにおいては、触らなくても見ただけで盲牌ができるとか、タンヤオ&ドラ12で相手を絶望させて勝つとか、これまでいろいろな伝説を作ってきた。だれも太刀打ちできないマージャンのスキルに敬意を表して岡谷教授と呼んでいるわけだ。

じぇ:要するにギャンブルが得意な人なんですね。フィリピンにもカジノエリアがあって、オカダマニラとかシティオブドリームとか人気です。私も時々遊びに行きます。

真鍋:そうか、どうやら、岡谷教授とじぇーんは相性がよさそうだな。

バババーパパパパーパパパパパー、ゴッドファーザーのテーマ曲のクラクションが聞こえる。

じぇ:あ、なんだか、岡谷教授が赤い車から手を振ってます。乗れって言っているような感じですが。

真鍋:おお、あれはまさしく岡谷教授のRX-7、ロータリーエンジン搭載の低い車高で稲妻のように走る、20世紀の名車中の名車、サバンナRX-7。

岡谷:真鍋はん、懐かしいだろ、昔乗ってたRX-7と同じ色の車が売りに出ていたので手に入れた、ワシは軟弱な車には乗らんよ。エンジンは13B、ツインローター654cc×2だ。ステアリングはアバルト、ショックはカヤバ、極めつけはタイヤ、アドバン タイプD、最近再生産が始まったので、10セットばかり買っておいたよ。

アドバン タイプDとは、かつて一世を風靡した、公道レーサー御用達のタイヤである。消しゴムのように消耗する財布に厳しいタイヤだが、それが魅力でもある。2017年にADVAN HF Type Dとして再発売された「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:伝説のアドバンタイプD、ブリップは凄いが、消しゴムのように削れていく、財布に厳しいタイプDだな。

岡谷:タイプDは、この非対称のトレッドパターンが魅力だ、雨にも強いよ。

真鍋:では、目的地に向かうとしよう、行き先はだな…。

岡谷:石舞台だろ、奈良県明日香村、1時間少々でつくよ。

石舞台古墳とは、奈良県明日香村にある古墳である。蘇我馬子の墓であるという説が有力であり、宇宙船が着陸するための台ではない。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:石舞台は桃太郎空港から240キロはあるぞ、どうして1時間で着くんだ。

黙ってRX-7を発進させ、すさまじい勢いで下り坂を駆け下りるレーサー岡谷、やがて山陽自動車道から阪神高速神戸線にを走る。

岡谷:阪神高速で爆走して爆死するならそれも本望、旅は道連れ、死ぬときも一蓮托生、潔く散ることにするぞ。

真鍋:ぎえぇ、安全運転で頼むよ、岡谷教授。私はまだ死にたくない。

岡谷:阪神高速は路面の状態がいい、大丈夫だ、220キロで回れないコーナーはない。

すさまじいスピードで阪神高速東大阪線、水走出口を降りるレーサー岡谷。

岡谷:ここからはあえて阪奈道路に入る、この坂は痺れるぞ。しっかり掴まっとけ。

真鍋:タイヤが消しゴムのように擦り減っていく、なんてことだ、アドバンタイプD。ちなみに、野暮なことをきくが、この走りで燃費はどのくらいなんだ。

岡谷:燃費気にして阪奈道を攻められるか。たぶん、リッター2キロくらいだと思うぞ、13Bは極めて燃費が悪いからな。しかもタイプDは2000キロで摩耗する、男らしいタイヤだ。ワシはケチ臭いタイヤは使わんよ。

真鍋:昔と変っていないな、岡谷教授。すべてがみな懐かしい。

私、運転上手い人って素敵だと思います。楽しい♡

ヲイヲイ!

特に急いでいるわけでもないのにRX-7で爆走し明日香村を一時間で目指す岡谷教授とそのスピードにビビるクリムゾン真鍋。三人は無事故で明日香村に到着できるのか、次回をお楽しみに。

第19回:飛鳥を訪ねて200キロ。 Read More »