クリムゾン真鍋

第12回:この場所はいつか来た場所。

スイカ市場に滞在中の真鍋の前に突然現れたスナブリン。10数年ぶりに現れるスナブリンにたじろぐクリムゾン真鍋。

スナ:プレジデント真鍋、名前を変えたそうですね、今の名前はクリムゾン真鍋らしいので、これからはそう呼ばせてもらいます。私はあなたがここに来るのをずっと待っていました。

真鍋:おかしいな、10数年前に弁天町のオーク200で会ったスナブリンと君は違うのか。あの時、あの場にいたなら私をずっと待っていたと言うのは辻褄が合わないんだが。

スナ:その通り、私がスナブリンになったのは割と最近のことですから。我々スナブリンはあなたも知っている通り、あちこちにたくさん存在しています、そして今でも増え続けています。新しい技術が開発されるたびにビジネスモデルが変わっていきます。そうすると新しくスナブリンが生成される。その仕組はあなたもよく知っていますよね、クリムゾン真鍋。

真鍋:まあ、そうといえばそうだ。私は1995年の時点では最もスナブリンに近い存在だったからな。

スナ:それなのにあなたはスナブリンになりませんでした。そうこうしているうちに2010年代のスマートフォン時代がやってきて、劇的なゲームチェンジが起こりました。その結果、コンソールを主戦場としていた私があなたより先にスナブリンになってしまうとは、皮肉なものです。

真鍋:世の中、そんなものさ。

スナ:あなたはこの場所のことを全く覚えていないのですか。時代はバブル景気の頃です。

真鍋:1994年にデスクリムゾンを作って以来、それより前のことは殆ど覚えていない。バブル景気と言えば1980年代だな。なにか、心にシャッターが作られて隠されている感じなんだが。

スナ:では教えましょう。あなたは大学生の頃、ここに2週間ほど住み着いてスイカ運びのアルバイトをしていたはずです。だから、スイカは受けるより投げるほうが楽ってことも知っていましたね。

真鍋:そうだな、確かに私が大学生の頃、ここでスイカを運んでいた記憶がある、すっかり忘れてたが今思い出した。

スナ:せっかくだから、あなたのその時代に私が案内します。あなたは麻雀とドライブに明け暮れ、まだコンピューターに触ったこともなかった頃です。

真鍋:それは興味深い話だ、ぜひ。

突然、スナブリンと共に白い光に包まれて、時空の谷間を旅する真鍋。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ちょうどスイカを運び出すトラックが到着したらしい、しばらく経つと二人の男がリズムよくスイカを投げ始める。その姿を市場の天井に取り付けた扇風機から広場を俯瞰してみるスナブリンとクリムゾン真鍋。

真鍋:あれが大学生の頃の私だな、スイカをキャッチしているのがそれらしい。赤のトレーナーを着ているから間違いない。当時から赤は私のイメージカラーだ。どうやら当時はガラスの腰ではなかったらしい。落とさず順調にスイカをチャッチしている。

そういったとたん、真鍋がキャッチに失敗してスイカを落とす。あたり一面に赤い破片がぶちまけられる。

スナ:スイカを投げているのは誰だか解りますか。

真鍋:なんか記憶がはっきりしない、もう少しで思い出しそうなんだが。

スナ:投げているのは私です。だけど、今は気にしなくていいです、そのうちに詳しく思い出すでしょう。

真鍋:しかし、キャッチャー下手くそだな、さっきからいくつもスイカを落としている。投げるのが下手なのか、受けるのが下手なのか、我々がここから眺めているのが暗黙のプレッシャーになっているのかもしれないな。

スナ:せっかくだから、スイカの軌跡に干渉して手伝ってみるのはどうですか、過去の世界に直接干渉することはできませんが、このコントローラーを使えば影響を与えることはできます。

そういいながら、ファミコンのコントローラーを渡すスナブリン。

真鍋:そうだったのか、それまで順調にキャッチできていたスイカを急に落とすようになったり、その逆が起きるのは、外部から干渉されていたんだ、全く気がつかなかった。

スナ:世の中とはそういうものです、本人が知らないだけで、周りや過去や未来からの干渉を受けながら時間というのは進んでいくものです。

真鍋:あれ、スイカが予想外の動きをする、思い通りにコントロールできなくなった、なぜだろう。

スナ:ふぁふぁふぁ、それは私も操作してるからです、この2Pコントローラーでね。

真鍋:スナブリン君、予告なく干渉するのは止めてくれないか。周りに迷惑だ…。

突然、スイカがすさまじい勢いで加速し、キャッチャーをしていた大学生時代の真鍋の顔面を襲う。受け損なった真鍋は顔面から血を流して倒れ込む。

真鍋:なんて酷いことをするんだ。なるほど、瞼の上にできた傷はこの時にできた傷、いまもここに残っている。自分の失敗かと思っていたが、君のせいだったのか。

スナ:これはゲームなんです、スイカを投げるゲーム。ゲームの世界では下手なやつが悪い。安心してください、もうすぐゲームオーバーです。文句があるなら初めからもう一度スタートすればいいだけのこと。

真鍋:そんなことができるのか。

スナ:飛ばせないいロゴを見ればいいんです、その間に、裏のジョブで新しくステージを構成する準備をしているわけですね。

真鍋:そういやそうだったな、ロゴが飛ばせないのはそういう裏の事情があったな。しかし、スイカを投げていたのは君なんだろうが名前が思い出せない。

スナ:では、そろそろ教えてあげましょう。今は無きダイナウエア、私はそこであなたと一緒にプログラマーとして働いていました、そして夏休みにあなたの誘いで一緒にスイカを運ぶアルバイトに来ました。

ダイナウェアとは、クリムゾン真鍋が大学時代にアルバイトを通じてプログラムの腕を磨いた会社である。ダイナパース、デスクUP、ダイナCADなど優れた製品を沢山排出したコンピューター界の歴史に残る会社である。藤井社長、最近お見かけしませんがお元気でしょうか。 「出典:近代芸無辞典より」

記憶がかすかに蘇るクリムゾン真鍋。しかし、視界がぼんやりして集中できない。

スナ:そこでゲーム作りについて私は熱く語ったものです。当時のあなたはゲームをプレイするのは好きだったが、作るのには全く興味がなかったですからね。

真鍋:そうだった、当時は未来のエネルギーについて考えていた。無限のエネルギーを人類は手に入れられないのか。もし手に入れることができれば、戦争など起こさず、すべての人が幸せになれるのではないかと密かに思っていた。だから、ゲームを作るということは遠い夢の世界だった。

スナ:私は大学を卒業するとダイナウエアを去り、ゲームを作るためにナムコに入社しました。そこで十数年間懸命に働き、それなりにいいゲームを作ったと自分でも自負しています。そしてある日、思うところがあって私は仲間と共に独立して自分の会社を作りました。その会社はある程度成功したが、時代が変わって私の作るものは世間に通用しなくなりました、世の中スマホゲームが席巻し、本格的な据え置きゲームは脇に追いやられました。しばらくして、私の会社は行き詰まりました。そして私は最後の賭けに出た。すべての資金と情熱と時間を投じて最高のものを作りました、だが作品は全く売れず、私は敗北しました。そしてその失敗を私は自分の生命で償った。そして思いを残したままのスナブリンとなった私はここでまたクリムゾン真鍋と会えることを楽しみにしながらあなたが来るのを待っていました。

真鍋:そんな経緯があったのか、私自身は全く知らなかった。

スナ:私はあなたが羨ましい、クソゲー作って、のうのうと生き延びて、その後はその悪名を活かして有名タイトルの裏方に回り、そこでビジネスを成功に導きました。奇跡が何回も起きているはずですが、なぜあなたはそんなに悪運が強いんですか。

真鍋:自然体で生きているだけだ、多くを望ます、執着せず、質素に質実剛健に生きている、それが私のモットーだ。

スナ:ならば、あなたはもうゲームを作る必要はないでしょう。あなたも知っている通り、ゲームを作るということは敗北したとき私のようなスナブリンになるということ。わざわざスナブリンになる必要性をあなたには全く持ち合わせていないはずです、やり残したことは何もない。

真鍋:心残りはある、完全なデスクリムゾンを作りたい。それに当時の仲間でもまた一緒に作品を作りたい人は何人かいる、また彼らに会いたいものだ。

スナ:あなたは既に成功者です、あえて危険な冒険をする必要はありません、「人間なんてなるようにしかならん」。

突然真鍋の頭を覆っていた白い霧がスッと消え去る。

真鍋:君はタニムラくんだな、「人間なんてなるようにしかならん」、その言葉を聞いて思い出した。そして私ががなぜゲームを作る気になったのか思い出した。君がかつてここで私に熱く語っっていたこと、それが私をゲーム制作に興味をもたせ、ゲーム制作を始める元になったんだね。

スナ:どうやら、すべてを思い出したようですね、クリムゾン真鍋。では、またいつか会いましょう。

突然、スナブリンの姿が消えた。あたりに静寂が戻ってくる。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

花咲:おはよう、クリムゾン真鍋。よく寝られたか、スイカのお化けは出てきたのか。

真鍋:まあ、そのようなものが出てきたわけです。

花咲:大体の経緯は承知している。やはり運命からは逃れられないようだ、どうだ、デスクリムゾンの続編を作る気にはなったか。

真鍋:どうやら、それがやり残した最後の使命みたいですね、そろそろ覚悟を決める時が来たかもしれません。

花咲:それは良いことだ。

真鍋:チョモがどう考えるか、それに、以前一緒にデスクリムゾンを作った仲間たちの協力も必要です。困難な道だとは思いますが…。

それでもクリムゾン真鍋がデスクリムゾンを完成させるのは避けられない宿命みたいだな。

そうかも知れません、チョモにも自分の宿命を受け入れる覚悟があるか…。

悩みながらもデスクリムゾンの完成版を制作する覚悟を決めたクリムゾン真鍋。制作はスタートできるのか、次回に注目。

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第11回:スイカお化けが出た。

真鍋:暑いな、暑すぎる、この市場はエアコンは動いてないのかな。電気代ケチっているのか、故障なのか、夏の夜に止まるとは、使えないエアコンだ。

そう呟きながら、体を回転させる真鍋。ドスンと音がして地面に落下する。

真鍋:急に高いところから落ちたようだ、肩が痛い。はて、私はなんでこんな所にいるんだろ。

そういいながら、スマホの画像をみるクリムゾン真鍋。昨日撮影したココモリ村の写真を見ると記憶が蘇ってくる。

花咲:俺から説明しよう。ニンジャの世界では、エアコンを使わないのが標準だ。厳しい修業によって火の中をくぐり抜けたり、極寒の水に潜ったりして苦しみを喜びに変える、それがニンジャだ。決して電気代をケチってるわけではない。

真鍋:あれ、そんなところにいたんですか、ニンジャ花咲。私は特にニンジャの修行に来たのではなく、スイカ市場で人が足りないと言ってたから手伝っているだけなんだけど。

花咲:新しい世界に入ったら、そこの風習に従うのが人の務め。まあ、諦めてこの環境に慣れてくれ。では良い睡眠を。

頭をゆっくり振りながら、近くにおいてあるスイカのかけらを口にする真鍋。

真鍋:やっと昨日の経緯を思い出した、ニンジャ花咲の招きでココモリ村にきて、そこでニンジャ花咲のスイカ卸の手伝いを頼まれて市場の事務所に泊まったんだな、やれやれ、暑いのは予定外だ。

真鍋:ニンジャ花咲もせっかく現れたんだから、ごちゃごちゃニンジャの道を説いてる暇があればエアコンのスイッチを押してくれればいいのにな。

プォプォ、トラックのクラクションの音がする。

真鍋:これは、スイカの納入トラックがついた合図だな、昨日説明を受けた気がする。トラックが到着するとスイカを車から降ろす作業があるんだったな。やれやれ、仕事でもするか。

謎の運転手:お疲れさん、スイカ持ってきたぞぉ、今日は少なめで800個やんけ。ラッキーやな、早速スイカ降ろし始めようやんけ。

真鍋:あれ、なんか君は見たことあるな、この特徴ある喋り方も聞き覚えが…。と思えば、君はなんと竜田さんではありませんか、これは久しぶり、ここで会うなんてなんて奇遇。

竜田:あれ、なんとまあ、そこにいるのは真鍋さんやんけ。ここ数年音沙汰ないと思ったら、市場で働いてるとは思わなかったやんけ。さては新作ゲームが大コケして売れなかったから、夜逃げして市場に身を隠しているって話でっか。

竜田と真鍋は同じ大学で学んだ学友だ。当時からオトクの道を極めようとしていた竜田の緻密な行動様式は、適当な行動で自滅することが多かった真鍋にとって新鮮な驚きであり、その後のゲーム制作においても大きな影響を与えたのである。

真鍋:まあ、おおむねそれに近い話ではあるが…。それより、竜田さんはなんでここに。というか、君の大学時代の別名はオトクハンターTだったな。オトクのことならワイに聞け、が口癖だった竜田さん、これからはハンター竜田と呼ぶか。でハンター竜田はなんでスイカ運びのトラックを運転しているんだ。

竜田:オトクのことならワイに聞け。夏はオトクな話が少ない、夏枯れといって、株も為替も証券も動きが止まる。それなら、この季節はスイカを扱うのが一番やんけ。じゃあ、スイカパーティでも始めるか。

そういいながら、持ってたスイカをワザと地面に落とすハンター竜田。

竜田:おおっと、手が滑った、ひびが入ったから、これはもう売り物にならないやんけ。捨てるのももったいない、仕方ないから食うとするか。

そう言いながらスイカの真ん中の甘いところだけをレンゲですくって贅沢に食べる竜田。

真鍋:そのレンゲはどうしたんだ、たまたま持ってたのか。

竜田:そうそう、たまたま持ってたやんけ。世の中、こういいこともあろうとあらかじめ用意しておくのが、真のオトクハンターの心構えでんな。それを確実に実行する、それがオトクハンターの生き様だ。

真鍋:ニンジャの生き様じゃないのか。ややこしくなったが、ハンター竜田はニンジャではないみたいだ、で、花咲はニンジャっぽくないが、ニンジャ。だいぶ頭が混乱してきた。

竜田:スイカパーティも終わったし、早速、仕事…。俺がトラックの荷台からスイカを下に投げるから、クリムゾン真鍋はそれをキャッチしてくれ。少々落としてもいいが、落としたスイカは食わないといけないから、あまりたくさん落とさない方がいいやんけ。

真鍋:私はガラスの腰だし、球技は苦手だ。できれば控えめにスイカを投げるピッチャーの役をやりたいんだが。

竜田:まあ、投げるほうが腰の負担は少ないな、じゃあ交代しよう。

真鍋:トラックの荷台から地面まで約3メートルの高さ。6メートルはスイカを投げる計算だ。初球はストライクを決めたいものだな。

そう言いながら、2時間かけて800個のスイカを市場に並べていくクリムゾン真鍋とハンター竜田。時々トラックを移動させながら、10個近いスイカの山ができていく。

竜田:これで最後でんな、お疲れさん。

真鍋:いや、終わった終わった。結局一つも落とさなかったから、無理にスイカ食う必要がなくなった。さすがオトクの神様、ハンター竜田。無駄な行動は一つもないな。

竜田:じゃあ、わしは帰るやんけ。新しいオトクの情報掴んだら、すぐ連絡してくれ。

そう言い残して竜田は轟音をたててトラックで去っていく。事務所に戻ってテレビをつける真鍋。疲労のあまり、そのまま椅子に座って居眠りを始める。テレビが放送終了となり、あたりは真っ暗になる。そんなときに暗闇の中から声がする。

真鍋:なんだか、先程落としたスイカのあたりから声が聞こえるようだ。スイカのお化けでも出たのかな。

謎の声:ひさしぶりですね、プレジデント真鍋。覚えてますか、私のことを。

真鍋:もちろん覚えている。覚えているが、覚えたくない。でも覚えている。きみはスナブリン、10数年前、君とは色々あったが、そのときに決着が着いたはずなんだが…。私の前には現れるなってね。それなのになんでまた私の前に現れるんだ。

スナブリンとは、デスクリムゾンに登場するキャラで、以前はくちびる君という名前で呼ばれていた。その後、15年前にクリムゾン真鍋が書いた小説「フリーズ」でその名前と成り立ちが明らかになる。クリムゾン真鍋とは様々な確執がありながら、将来の再会を約束して別の道を歩むことになる。
「出典:近代芸無辞典より」

時は来た、それだけだ。ゲームを作り始めた君を迎えに来た。

そのセリフ、最近よく聞くな。君とは永遠に会いたくない。少なくとも、今はまだ会う必要はないだろう。

10数年ぶりにスナブリンと再会してたじろぐクリムゾン真鍋。スナブリンが現れた目的は、クリムゾン真鍋のゲーム制作はいったいどうなるのか。次回をお楽しみに。

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第10回:新しい司令官着任。

ピロロン、メールの着信音がする。

真鍋:誰だろう、なんか嫌な予感がするメールの着信音だな。誰からか見てくれないか、じぇーん。

じぇ:イエッサー、あれ、よくわかりませんが、WNUからって書いてますね。

真鍋:WNU…ああ、世界ニンジャ連合ね、またややこしいメールのような気がする、読み上げてくれますか。

じぇ:はじめてメール差し上げます。私が世界ニンジャ連合極東支部に新しく着任した、司令官のハナサカです。前任者から話は聞いてますので、一度世界ニンジャ連合極東支部にお越しいただけませんでしょうか、よろしくお願いします。

真鍋:言い方はすごく丁寧だが、要するに挨拶に来いってことだな。なかなか強引なオファだが、極東司令官ならそれくらいの強引さは必要か。我々の開発室は冷蔵庫にハイボールが大量に入っていたりかなり庶民的な雰囲気だから、ここに来られてうだうだ言われるのも不愉快だしこちらから行くほうが気が楽だ。

じぇ:そうですよね、そもそも、このハナサカ司令官が酔っぱらいかどうかが問題ですよね。まず、こちらから出向いて相手の様子を見るのは営業の基本ですしね、マスター。

真鍋:そうと決まったら、さっそく極東支部に行くことにしよう。で、チョモはどうする、一緒に行くか。

チョ:俺は今日は鉄緑会の講習があるから行きません。訳の分からない支部にいってる時間はないんです。

鉄緑会とは、首都圏で有名な、知る人ぞ知る、東大受験に特化した現役高校生のための学習塾である。生徒の半分以上が東大に現役で合格するという抜群の実績を誇るが、入塾テストは極めて難しい。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:そうか、鉄緑会は東大予備校として大事だからな。しっかり勉強して、その成果をゲーム業界に還元するようにな。

ちょ:ウィーッす。

真鍋:じゃあ、さっそく出発しよう、じぇーん、行き方は思いついたか。

じぇ:羽田空港から、セントレアまで飛行機、その後近鉄特急の特別電車、ひのとりを乗り継いで2時間位ですね。

真鍋:おお、あの高級シートで有名な近鉄特急ひのとりに乗れるとはラッキー、さっそく出発だ。ぜひともひつまむしを食べよう。

じぇーんと、ひつマムシを食いながらひのとりではしゃぐクリムゾン真鍋。ついに指定された場所に到着する、クリムゾン真鍋とじぇーん。

じぇ:マスターおかしいですね、指定された極東支部の住所は、ここのはずなんですが、それらしい建物が見当たりません。

真鍋:花咲青果市場って書いているな、これはどう見ても違うだろ、もう一度メールを確認してみろ。

じぇ:どうみても、ここです。それより、メールにはハナサカ司令官と書いてましたよね、ここが花咲青果市場だから、司令官の親戚の家かなんかじゃないんでしょうか。

真鍋:まあ、せっかくだから入ってみよう。こんにちわ、ハナサカ司令官はいますか。

謎の人:私がハナサカ司令官だ、これからは、ニンジャ花咲と呼んでくれ。世界ニンジャ連盟から、極東支部長として赴任してきた。よく来てくれたクリムゾン真鍋。これからは極東支部長として、ニンジャ世界発展のために、全身全霊戦うつもりなのでよろしくな。

真鍋:そうなんですね、ニンジャ花咲。しかし、メールとだいぶ言葉遣いが変わりましたね、多重人格か何かですか。

花咲:これはこういうものだ、俺様はメンタルがプリンなんでな。メールでは、弱気な人格がでて馬鹿丁寧になるが、対面すると本来の性格が出てくる。お陰でプリンのメンタルが壊れずに済んでいる。

真鍋:そう言うことなんですね。で、ニンジャ花咲はゲーム制作の経験はありますか。

花咲:そんなものは全くない、だがこれまでこの地よりたくさんのニンジャを養成して送り出してきたから、俺にとってはゲーム制作なんてチョロいものだ。困ったことがあれば教えてやるから、遠慮なく聞きに来い。

真鍋:それは頼もしいですね、近鉄特急にのってきます。ここって、忍者の本家である、伊賀と甲賀の中間にあるんですね。

花咲:そうだ、ここはココモリ村と言って、特別な位置にある。伊賀と甲賀の間に位置して、どちらにも影響を受けずに中立の立場で行動する、それがココモリ忍者の掟だ。

真鍋:そうなんですね、単にマイナーな系列なんじゃなく、独立性を保って権力を維持する永世中立な村なわけですね。

花咲:そうだ、他に質問はあるか。

じぇ:ニンジャ花咲マスターはどんな仕事をされているんですか。

花咲:きみがじぇーんか、よくみればなかなか美しいオナゴはんだな。

じぇ:ありがとうございます

花咲:本来は身を隠す仮の仕事のことは教えないのだが、きれいなオナゴはんに免じて教えるとしよう。私の仕事はこのココモリ村で、青果市場をやっている。メインに扱っているのは果物、特に夏のスイカは利益率が高く、売上の大半は7月と8月に集中している。ココモリ村は伊賀からも甲賀からも程良い距離で離れている小さな村だが、この一帯のスイカは、ほぼ私が流通させている。年に二ヶ月くらい働けば十分だから、その時期以外は世界ニンジャ連盟の活動を無理なくできる、スイカも食い放題だしな。

真鍋:しかし、じぇーん。またなんか怪しいやつがでてきたな。どうして俺の周りには変人ばかり集まってくるんだろう。

じぇ:もともとマスターの周りには怪しい人がたくさんいますから、こんなものではないでしょうか。そもそも、マスター自体が怪しい存在なのが理由なのでは。

真鍋:まあ、それには一理ある。昔から俺は変人コレクターって言われていて、周りに集まってくる友人たちもほとんど全員が変人だったよ。じぇーんも、その意味では十分変人なんだが…

じぇ:あまり嬉しくなですね、変人というのは。

花咲:さて、クリムゾン真鍋。今は7月でスイカの出荷が最盛期、人手が足りないから、ぜひ市場の仕事を手伝ってくれ、ゲーム制作の話は、夏が終わってからでいいだろう。

じぇ:賛成です、マスター。私もちょうど夏休みで国に帰ろうと思っていたところです。マスターがしばらく自宅にいないのは好都合ですね。

真鍋:まあ、しかたないな、せっかくだからスイカの流通の仕組みでも学習するとするか。いいですよ、ハナサカ司令官。半月くらいここに滞在して、スイカ市場を手伝うことにします。

それは良い心がけだ、人手不足が解消してよかった、よろしく頼む。

スイカも喜んでいますね、よかったよかった。

新たに現れた世界ニンジャ連合の新たな司令官、ニンジャ花咲。突然スイカ市場を手伝うことになったクリムゾン真鍋。ガラスの腰は大丈夫なのか…次回をお楽しみに。

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第9回:チョモの御三家受験-概要編

真鍋:チョモランマ桐太郎くん、ここはせっかくだから、君が御三家受験のために香港日本人小学校で学んだノウハウをみなさんに広めようではないか。海外の小学校を卒業しながら御三家受験をした経験には我々だけで囲い込むのはもったいないノウハウが多い。

チョ:教えるのはいいんだけど、中学受験の世界はそんなに甘いものではありません。二月の勝者を読めばわかるけど、自分以外の受験生は全員ライバル、ママ友を通じて受験のノウハウを教えてもらおうとしても、ライバルには脚色した情報しか流さないのが前提です。

二月の勝者とは、中学受験をテーマにしたコミックである。中学受験の内情を描いた作品として人気を博し、テレビドラマ化された「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:たとえばどんな脚色。

チョ:典型的なケースとして、「うちの子供は、塾が8時に終わったら、すこし復習して10時には寝てます。子供は睡眠が大事だから」これを真に受けて10時に寝てるようでは甘い。10時に寝るというここの家は、実際は10時に寝て朝の5時に起きて学校行く8時まで3時間勉強していたりする。実質夜中の1時に寝ているのと同じだけど、5時に起きる部分を脚色して教えないところがミソです。

真鍋:それの脚色はひどいな、信じて10時から7時まで9時間睡眠を取らせるために子供を早く寝させる親が可愛そうだ。

チョ:騙される方が悪いんです。そもそも、核心ノウハウをそんなに簡単に教えるわけがない。

真鍋:そりゃそうだ、受験が終わった人は比較的口が軽いが、まさに受験戦争真っ只中の人は、ライバルが一人でも増える行動はやりたくないよな。ましてや、自分が不用意に喋ったノウハウで、ママ友の子供だけが志望校に通って、自分の子供が落ちたとき、余計なことを喋った後悔は一生つきまとうからな。

チョ:そんななかでも、具体的になかなか出てこないオトクな情報は、このニンクリ物語を読んでくれている受験ママたちには少しだけ公開してもいいかなって思う。

真鍋:わかった、チョモランマ君。では、私が受験生の親として核心と思われるノウハウを小出しにお教えすることにしよう。

チョ:賛成、俺も小学校は5つ、塾は4つ、親の引っ越しで転校ばかりしていたから精神的に大分鍛えられた。その経験を残しておきたいよね。

真鍋:そんなにたくさん転校したっけ。

チョ:海外の日本人小学校はなかなか情報が無いからね、例えば香港日本人小学校はたくさんの生徒は片道1時間、往復2時間かけて学校に行くことになる。香港の中に日本人小学校が2つしかない上に、土地が狭い香港ではかなり辺鄙なエリアに学校が設置されることになるから、どうしても通学時間が長くなる。

香港日本人小学校とは、海外駐在に行く日本人家族のために、日本国が主導で設置した私立小学校である。英語圏では現地校に行く生徒が多いため日本人学校は設置されない場合が多い「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:日本の小学生はせいぜい小学校まで15分くらいだから、そこで勉強時間に差がつくわけだ。

チョ:世田谷の小学校にいたときには、朝8時に起きても間に合っていたけど、香港だと6時半に起きて7時のバスに乗るから、結構時間が削られる。毎日3時間差が出る感じね。

チョ:小学校は、何回も海外駐在についていったから転校が多いのは仕方ないとして、サピックスはあちこちの校舎に行ったね。それぞれ校風が違うから面白い

真鍋:サピックスは下高井戸、西宮北口、茅ヶ崎、大船だっけ、結構変わったな。それ以外にも四谷大塚とか、早稲田アカデミーとか浜学園とか、あちこちと関わったものだ。

チョ:そうそう、小学校5年生は一番入室希望者が多いから、希望の校舎にはなかなか満員で入れない。ただ、近くの校舎に通って、空きが出るのを待てば問題ないよね。

真鍋:そもそも、このあたりの仕組みは、インターエデュってサイトをみれば、ほぼすべての情報が入っている。インターエデュのサピックス、アルファの部屋の4年生から6年生を過去5年分くらい熟読するのがまず最初に親がやるべきことだね。そうすれば、4年生から6年生までなにをすべきかすぐに情報がはいる。ただ、年によっては情報があまり集まらない時があるね。そんなときは他の学年のスレをみても十分情報が集まる。

インターエデュとは、受験情報を集めた情報サイトである。スレッドは一見5チャンネルのように見えるが、5ちゃんねるより上品な議論が活発に行われている気配である。「出典:近代芸無辞典より」

チョ:中学受験は親の戦いの部分が半分だね、親が勉強しないのに子供が勉強できるわけない。入試当日は親が算数に関してはその学校の試験に合格するレベルになっていないと、子供もなかなか通らないだろうね、ということで、受験生の父母の方、受験生と一緒に勉強してあげてください。

じぇ:マスターの家では、何年生から受験の準備を始めたのですか?早いほどいいとか言うけど、

真鍋:始まりは、小学校1年生の夏休み、公文の教室に算数習いに通ったよ、そこで1ヶ月勉強してから、浜学園の入塾テストをうけて入塾。海外に行ってたからウエブ授業だけど、1年生から3年生までは浜学園のウエブ授業で、算数と国語をちょっとだけ勉強開始したんだ。

じぇ:その後、サピックスですか?

真鍋:そうね、自宅から通える範囲にサピックスがある人は幸せだ。30分くらいならなんとか通える。4年生、5年生前半はのんびりゲームとかしながら、片手間で勉強。五年の後半からは、1日10時間勉強だよね。

じぇ:サピックスはプリントがたくさん出てきて親が大変だって聞きますが。

真鍋:それは正確な情報ではないな。サピックスはプリントがたくさん出てくるから、親は何も考えずに、出てきたプリントを片っ端から片付けることに専念すればいいから、実際には親の負担は一番少ない。逆に、どの教材をやるか親が考えて作戦を立てないといけない塾のほうが、親の能力が大事になってくる。

じぇ:学校行きながらどうやって、6年生の間、1日10時間勉強するんですか?

チョ:それは簡単だよ。3時に学校から帰ってきて、夜中の1時まで勉強、1時に寝て、8時に起きる。睡眠が微妙に足りない分は、学校で合間に寝て補充。一日って結構長いよね。

真鍋:まあ、睡眠不足は受験生の宿命。寝てるのは死んでるのと同じだから、1年半くらいは、非常識な生活をするのは仕方ないだろ。

じぇ;なんか、厳しい世界ですね。他にテクニックとかありますか?

真鍋:よく聞いてくれた。塾のテストのためには、過去問を入手するのが大事だ。過去問を1週間前に解いてみて、弱点を1週間で補う。これがとりあえず塾での成績を上げる秘訣。塾での成績があがると気分がいいから、更に勉強がはかどる。そんな循環だな。過去問を入手する方法はいずれまた公開するとしよう。

じぇ:なんか、ホントにせこい勝負ですね。そこまでやって恥ずかしくないんですか。

真鍋:そういう世界なのは、二月の勝者を読めばすぐ理解できる。誰が一番頭がおかしいかを競う競技をしているのが御三家の受験。

じぇ:家庭教師とかつけたほうがいいんですよね、経済的に豊かな家庭しか成果が出ないのでしょうか?

真鍋:いい質問だね、結局は親が家庭教師をやるのが最強だよ。中学受験は、親が内容に踏み込んで教える必要はそんなにない。それより、スケジュール管理が一番大事。その日のテーマを決め、採点して、弱点をやり直し、それを確認する、その一連の流れを親がきちんとできれば、家庭教師はいらないと思う。

チョ:親が戦術、戦略を考えるのは一番大事だよね。受験が終わった人なら、自分から連絡してノウハウを教えてと頼めば、きっと教えてくれるよね。

真鍋:そうそう、結局、中学受験は親の情報戦争だから。いかに良質の情報を抜けなく集める仕組みを作った人が勝利する。そんな感じだな。チョモからなにか言うことはあるか。

チョ:よく、受験生はゲームや漫画禁止と言うけど、ゲームや漫画は結構頭を鍛えるのに役に立つから、禁止するのはだめだと思う。小学校の1年から3年は、本を読むのも必要だけど、漫画で漢字を覚えることができる。ふりがながついている漫画はいいよね、小学校の低学年でたくさん読んでおけば、国語の勉強になるし。

真鍋:そういえば、チョモはいろいろ読んでいたな。おすすめの漫画やゲームはなんだろう。

チョ:ワンピース全巻、ドラゴンボール全巻、こち亀全巻、20世紀少年全巻、これを小学校3年までに読んだ。少年ジャンプの漫画はひらがながふってるから、小2くらいから読める。ゲームはRPGがいいよ、ドラクエとか言葉を覚えるのにちょうどいいから、ぜひ4年生までに全部やったほうがいいよね。

真鍋:なんだか、楽しそうな受験生だったんだな。要するに、5年生の前半までは漫画とゲームで遊びながら勉強でいいわけだ。

チョ:そんな感じ、本当の勝負は6年生の7月以降だから、ここから夏休みは1日12時間勉強できるかどうかが大事だね。

ゲーム制作と基本は同じだな、なかなか厳しい世界だ。まあ、これからも、時々受験テクニックは公開することにしよう。

これ読んで、ゲーム制作に興味をもつ受験生が増えたらいいね。

今回は夏休みが始まって漫談になったけど、次回は世界ニンジャ連合(WNU)から新しい司令官が到着予定、お楽しみに。

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第8回:ニンジャの旅立ち

板垣:今日は大事な話がある。心して聞いてくれ。

真鍋:何ですか、大事な話とは。

板垣:クリムゾン真鍋には話してなかったが、俺は以前から世界ニンジャ連合、略してWNU(World ninja unions)の極東司令官をしている。

真鍋:それは初耳ですね。

板垣:で、先週司令官が世界中から集まって開催されたニンジャ連合世界大会で、俺はアフリカ司令として活動することが決まった。拠点はヨハネスブルグにある。

真鍋:ヨハネスブルグというと、エビ型ニンジャとかたくさん居そうですね。それはそれで楽しそうだ。

板垣:と言うことで、クリムゾン真鍋と一年間に渡って活動してきた戦艦ニンジャクリムゾンだが本日をもって離れることになる。誠に残念だが理解して欲しい。

真鍋:わかりました、私もニンジャ板垣がニンジャ連合再興のためにいつか立ち上がる時がくると覚悟してました。「時は来た」って感じですね。

板垣:そうだ…「時は来た、それだけだ」。それで、クリムゾン真鍋はこれからどうする。

真鍋:私はチョモランマ桐と戦艦ニンジャクリムゾンを守って行きます。せっかくニンジャ板垣に名付けてもらったチョモランマ桐の名前を大切します。

板垣:ニンジャの世界はメトロノームのように左右に激しく揺れ動いている、これが以前話したメトロノーム理論だ。

真鍋:メトロノームが大きく揺れ動いてるのを感じます。しかしニンジャ板垣がいなくなったら、戦艦ニンジャクリムゾンという名前は不自然ですね、チョモランマクリムゾン探検隊にでも変更しますかね。

板垣:近いうちに世界ニンジャ連合から新しい司令官が到着するはずだ、あとは新しい司令官と話してくれ。

真鍋:わかりました、戦艦ニンジャクリムゾンの名前はその時に考えます。ニンジャ板垣の周辺でも、最近抜け忍がたくさん発生しているようですね。新世界での活躍、楽しみにしてます。

では俺は旅立つとしよう、涅槃で会おう!

涅槃で会いましょう。

こうして、ニンジャ板垣はヨハネスブルクに旅立った。核となる司令官を失った戦艦ニンジャクリムゾンはいったいどこに向かうのか…クリムゾン真鍋とチョモランマ桐の行く末はいったいどうなるのか…次回をお楽しみに!

第8回:ニンジャの旅立ち Read More »

第6回:手がかりは突然に。

板垣:クリムゾン真鍋、確かあなたはダイバダッタにアドバイスを受けにインドに行ったはずだがその様子はどうだ。

真鍋:色々ありまして、大間のマグロは美味かったということ、それと六ヶ所村の核燃料再処理工場の前も通りました。一度来てみたかったところなので良い収穫でした。

参考画像:フランスの再処理工場

板垣:そういえば、クリムゾン真鍋は、専門は原子力だったな、原子力の専門家がどうして、ゲームを、それもクソゲーを作ることになったのだ。納得いく説明を聞きたいものだ。

真鍋:それは、長くなるのでまた、次の機会に。時期が来たら話します。

板垣:わかった、で、ダイバダッタの件は?まさか失敗してノコノコ帰ってきたという話ではないことを願うが。

真鍋:きっちりとキーワードを教えてもらってきました。ダイバダッタは取り込み中だったので、代わりに有名な専務に話を聞いてきました。

専務から聞いた内容を説明するクリムゾン真鍋、だが、要領を得ない発言にイライラして指先が小刻みに震え始めるニンジャ板垣。

板垣:で、スロープ、ガン。それだけじゃ全く雲をつかむような話だ。要するになんの成果も出なかったということで良いか。

真鍋:(さすが、仕事のクオリティについては、鬼のように厳しいニンジャ板垣。ここがクソゲー作家とハイクオリティ作家の分岐点ということか)

板垣:じぇーんちゃんは、なにか言うことはないのか?

じぇ:マグロ丼が美味かったです、いまはそれだけです。

板垣:さすがにクリムゾン真鍋のメイドさん。話をはぐらかす話術をよく知っている。大したものだ。

じぇ:あと、味千ラーメンも美味しかったですね、マスター。

真鍋:だまれ、これ以上、混乱させるようなことを言うんじゃない。

じぇ:了解!

真鍋:しかし、ここにきて完全に行き詰まりましたね。次はヨハネスブルクにでも行ってみますか?エビ型プログラマーとかいるかもしれないですよね。

板垣:エビには無理だろ、我々の新作ゲームに、エビは不適格だ。

これは、ニンジャ板垣とクリムゾン真鍋が面白いと意見が一致した、第9地区という映画にちなんだ話である。アパルトヘイト時代の南アフリカにエイリアンが漂着、その姿がエビに似ていた話である。「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:う~む。困った困った。

ピロピロピロ

じぇ:誰かからメールが届いたみたいです、マスター。

真鍋:疲れたから読み上げてくれる。気分的にはなにも考えたくない気分なので。

じぇ:わかりました、読み上げます。「どうやら、おふた方、プログラマーが見つからなくて困ってるみたいですね。せっかくだから、俺がやってもいいぞ。ギャラはいただくけどな。」

内容を聞いて、めんどくさそうに話をするニンジャ板垣とクリムゾン真鍋。

板垣:こういうの、よくいるよな。妙に自信をもっていて、押し付けがましくアピールしてくるやつ。こういうやつが使いものになったことが今まで一度もない。

真鍋:同感です、このタイプは開発が厳しくなると、小樽に逃げるタイプですよね。いままで何回も小樽に迎えに行ったものです。

じぇ:続きのメールが来ました。「もし俺に興味があるなら、明日の正午、鉄砲坂で待つ。加納桐太郎より」

真鍋:どうやら、加納桐太郎というのが、こいつの名前みたいですね。自分で名前を名乗るのは良いことだとは思うが…特に、明日会いに行くほどではないですね。

板垣:いや、待て、クリムゾン真鍋。この待ち合わせ場所の鉄砲坂と言うの、なんか気になる。鉄砲坂、テッポウザカ…。

真鍋:はて、なんのことですかいのぉ。ワシにはさっぱりわからんがのぉ。

テッポウ、要するにガンだ。で…、坂。これはスロープ。要するに鉄砲坂というのは、ガンスロープ。これだよ、これ、クリムゾン真鍋。

そうか、専務から聞いたことはこの意味かもしれませんね、これは期待が持てるかも。

板垣:しかし、専務はどうして鉄砲坂を知っていたんだろう。まあ明日、鉄砲坂とやらに行ってみることにしよう。

真鍋:せっかくだから行きましょう。

次回は加納桐太郎の秘密が明かされる、敵か味方か…お楽しみに。

第6回:手がかりは突然に。 Read More »