第9回:チョモの御三家受験-概要編

真鍋:チョモランマ桐太郎くん、ここはせっかくだから、君が御三家受験のために香港日本人小学校で学んだノウハウをみなさんに広めようではないか。海外の小学校を卒業しながら御三家受験をした経験には我々だけで囲い込むのはもったいないノウハウが多い。

チョ:教えるのはいいんだけど、中学受験の世界はそんなに甘いものではありません。二月の勝者を読めばわかるけど、自分以外の受験生は全員ライバル、ママ友を通じて受験のノウハウを教えてもらおうとしても、ライバルには脚色した情報しか流さないのが前提です。

二月の勝者とは、中学受験をテーマにしたコミックである。中学受験の内情を描いた作品として人気を博し、テレビドラマ化された「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:たとえばどんな脚色。

チョ:典型的なケースとして、「うちの子供は、塾が8時に終わったら、すこし復習して10時には寝てます。子供は睡眠が大事だから」これを真に受けて10時に寝てるようでは甘い。10時に寝るというここの家は、実際は10時に寝て朝の5時に起きて学校行く8時まで3時間勉強していたりする。実質夜中の1時に寝ているのと同じだけど、5時に起きる部分を脚色して教えないところがミソです。

真鍋:それの脚色はひどいな、信じて10時から7時まで9時間睡眠を取らせるために子供を早く寝させる親が可愛そうだ。

チョ:騙される方が悪いんです。そもそも、核心ノウハウをそんなに簡単に教えるわけがない。

真鍋:そりゃそうだ、受験が終わった人は比較的口が軽いが、まさに受験戦争真っ只中の人は、ライバルが一人でも増える行動はやりたくないよな。ましてや、自分が不用意に喋ったノウハウで、ママ友の子供だけが志望校に通って、自分の子供が落ちたとき、余計なことを喋った後悔は一生つきまとうからな。

チョ:そんななかでも、具体的になかなか出てこないオトクな情報は、このニンクリ物語を読んでくれている受験ママたちには少しだけ公開してもいいかなって思う。

真鍋:わかった、チョモランマ君。では、私が受験生の親として核心と思われるノウハウを小出しにお教えすることにしよう。

チョ:賛成、俺も小学校は5つ、塾は4つ、親の引っ越しで転校ばかりしていたから精神的に大分鍛えられた。その経験を残しておきたいよね。

真鍋:そんなにたくさん転校したっけ。

チョ:海外の日本人小学校はなかなか情報が無いからね、例えば香港日本人小学校はたくさんの生徒は片道1時間、往復2時間かけて学校に行くことになる。香港の中に日本人小学校が2つしかない上に、土地が狭い香港ではかなり辺鄙なエリアに学校が設置されることになるから、どうしても通学時間が長くなる。

香港日本人小学校とは、海外駐在に行く日本人家族のために、日本国が主導で設置した私立小学校である。英語圏では現地校に行く生徒が多いため日本人学校は設置されない場合が多い「出典:近代芸無辞典より」

真鍋:日本の小学生はせいぜい小学校まで15分くらいだから、そこで勉強時間に差がつくわけだ。

チョ:世田谷の小学校にいたときには、朝8時に起きても間に合っていたけど、香港だと6時半に起きて7時のバスに乗るから、結構時間が削られる。毎日3時間差が出る感じね。

チョ:小学校は、何回も海外駐在についていったから転校が多いのは仕方ないとして、サピックスはあちこちの校舎に行ったね。それぞれ校風が違うから面白い

真鍋:サピックスは下高井戸、西宮北口、茅ヶ崎、大船だっけ、結構変わったな。それ以外にも四谷大塚とか、早稲田アカデミーとか浜学園とか、あちこちと関わったものだ。

チョ:そうそう、小学校5年生は一番入室希望者が多いから、希望の校舎にはなかなか満員で入れない。ただ、近くの校舎に通って、空きが出るのを待てば問題ないよね。

真鍋:そもそも、このあたりの仕組みは、インターエデュってサイトをみれば、ほぼすべての情報が入っている。インターエデュのサピックス、アルファの部屋の4年生から6年生を過去5年分くらい熟読するのがまず最初に親がやるべきことだね。そうすれば、4年生から6年生までなにをすべきかすぐに情報がはいる。ただ、年によっては情報があまり集まらない時があるね。そんなときは他の学年のスレをみても十分情報が集まる。

インターエデュとは、受験情報を集めた情報サイトである。スレッドは一見5チャンネルのように見えるが、5ちゃんねるより上品な議論が活発に行われている気配である。「出典:近代芸無辞典より」

チョ:中学受験は親の戦いの部分が半分だね、親が勉強しないのに子供が勉強できるわけない。入試当日は親が算数に関してはその学校の試験に合格するレベルになっていないと、子供もなかなか通らないだろうね、ということで、受験生の父母の方、受験生と一緒に勉強してあげてください。

じぇ:マスターの家では、何年生から受験の準備を始めたのですか?早いほどいいとか言うけど、

真鍋:始まりは、小学校1年生の夏休み、公文の教室に算数習いに通ったよ、そこで1ヶ月勉強してから、浜学園の入塾テストをうけて入塾。海外に行ってたからウエブ授業だけど、1年生から3年生までは浜学園のウエブ授業で、算数と国語をちょっとだけ勉強開始したんだ。

じぇ:その後、サピックスですか?

真鍋:そうね、自宅から通える範囲にサピックスがある人は幸せだ。30分くらいならなんとか通える。4年生、5年生前半はのんびりゲームとかしながら、片手間で勉強。五年の後半からは、1日10時間勉強だよね。

じぇ:サピックスはプリントがたくさん出てきて親が大変だって聞きますが。

真鍋:それは正確な情報ではないな。サピックスはプリントがたくさん出てくるから、親は何も考えずに、出てきたプリントを片っ端から片付けることに専念すればいいから、実際には親の負担は一番少ない。逆に、どの教材をやるか親が考えて作戦を立てないといけない塾のほうが、親の能力が大事になってくる。

じぇ:学校行きながらどうやって、6年生の間、1日10時間勉強するんですか?

チョ:それは簡単だよ。3時に学校から帰ってきて、夜中の1時まで勉強、1時に寝て、8時に起きる。睡眠が微妙に足りない分は、学校で合間に寝て補充。一日って結構長いよね。

真鍋:まあ、睡眠不足は受験生の宿命。寝てるのは死んでるのと同じだから、1年半くらいは、非常識な生活をするのは仕方ないだろ。

じぇ;なんか、厳しい世界ですね。他にテクニックとかありますか?

真鍋:よく聞いてくれた。塾のテストのためには、過去問を入手するのが大事だ。過去問を1週間前に解いてみて、弱点を1週間で補う。これがとりあえず塾での成績を上げる秘訣。塾での成績があがると気分がいいから、更に勉強がはかどる。そんな循環だな。過去問を入手する方法はいずれまた公開するとしよう。

じぇ:なんか、ホントにせこい勝負ですね。そこまでやって恥ずかしくないんですか。

真鍋:そういう世界なのは、二月の勝者を読めばすぐ理解できる。誰が一番頭がおかしいかを競う競技をしているのが御三家の受験。

じぇ:家庭教師とかつけたほうがいいんですよね、経済的に豊かな家庭しか成果が出ないのでしょうか?

真鍋:いい質問だね、結局は親が家庭教師をやるのが最強だよ。中学受験は、親が内容に踏み込んで教える必要はそんなにない。それより、スケジュール管理が一番大事。その日のテーマを決め、採点して、弱点をやり直し、それを確認する、その一連の流れを親がきちんとできれば、家庭教師はいらないと思う。

チョ:親が戦術、戦略を考えるのは一番大事だよね。受験が終わった人なら、自分から連絡してノウハウを教えてと頼めば、きっと教えてくれるよね。

真鍋:そうそう、結局、中学受験は親の情報戦争だから。いかに良質の情報を抜けなく集める仕組みを作った人が勝利する。そんな感じだな。チョモからなにか言うことはあるか。

チョ:よく、受験生はゲームや漫画禁止と言うけど、ゲームや漫画は結構頭を鍛えるのに役に立つから、禁止するのはだめだと思う。小学校の1年から3年は、本を読むのも必要だけど、漫画で漢字を覚えることができる。ふりがながついている漫画はいいよね、小学校の低学年でたくさん読んでおけば、国語の勉強になるし。

真鍋:そういえば、チョモはいろいろ読んでいたな。おすすめの漫画やゲームはなんだろう。

チョ:ワンピース全巻、ドラゴンボール全巻、こち亀全巻、20世紀少年全巻、これを小学校3年までに読んだ。少年ジャンプの漫画はひらがながふってるから、小2くらいから読める。ゲームはRPGがいいよ、ドラクエとか言葉を覚えるのにちょうどいいから、ぜひ4年生までに全部やったほうがいいよね。

真鍋:なんだか、楽しそうな受験生だったんだな。要するに、5年生の前半までは漫画とゲームで遊びながら勉強でいいわけだ。

チョ:そんな感じ、本当の勝負は6年生の7月以降だから、ここから夏休みは1日12時間勉強できるかどうかが大事だね。

ゲーム制作と基本は同じだな、なかなか厳しい世界だ。まあ、これからも、時々受験テクニックは公開することにしよう。

これ読んで、ゲーム制作に興味をもつ受験生が増えたらいいね。

今回は夏休みが始まって漫談になったけど、次回は世界ニンジャ連合(WNU)から新しい司令官が到着予定、お楽しみに。