構想がまとまらずに、プールで惰眠を貪るクリムゾン真鍋。気がつけば夕方に…。
プールの人:お客さん、そろそろプールが閉まる時間です…、ご退場願います。
真鍋:そりゃいかん、どうやら眠ってしまったらしい、日焼けの名残で全身が痛い。
竜田:すっかり夜やんけ、夕飯は豚足とソーキそばでも食いに行くやんけ。
真鍋:残念だが、昼飯が消化できてない、新作の構想もなにも思いつかない、スランプだ、部屋に帰って考え事しているから…。すまんのぉ。
竜田:了解、福田食堂で豚足食ってくる、気にせず構想の続きを考えるやんけ。
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部屋に戻って、構想の続きを考えるクリムゾン真鍋、スランプは更に深まる。
真鍋:VERA望遠鏡、あれがなんだか気になる。せっかくだから、ひとりで夜のドライブに行くか。
ということで、軽トラを駆って昼間に見学したVERA望遠鏡に再度訪れるクリムゾン真鍋。あたりは大雨となり、遠くで雷鳴がなっている。
真鍋:着いた着いた、やっと着いた。天気の良かった昼間は簡単にたどり着けたが、大雨の夜に軽トラで来るのはだいぶ難易度が違う。軽トラの荷台に雨が溜まってプールみたいになってるな。
管理人:ちょっと、そこの人、なんの御用ですか。
真鍋:ああ、怪しい人ではありません。VERA望遠鏡が気になったのでちょっと見学に。
管理人:あなたも変わった人だ、こんな大雨のなか、わざわざVERA望遠鏡を見に来るなんて。
真鍋:管理人さんは、ずっとここで望遠鏡の警備をやっているんですか。昼間はいなかったようだけど。
管理人:昼間は人目が多いから大丈夫なんだが、夜になると望遠鏡の近くで花火やったりドローン飛ばしたりする人がでてくる。そういう行為は観測結果に悪影響を与えるのでやめてもらうように見回ってます。
真鍋:へえ、地元の方のボランティアって感じですか。
管理人:私は今は退任しましたが、もともとこのVERA望遠鏡施設の所長をやっていました。退任したあともこうやって望遠鏡を見ながら宇宙のことを想像しているわけです。
退任したあとも、かつて自分が大事にしていた施設の見守り続ける、日本人の美学を具現化した管理人に感動する真鍋。
真鍋:あなたがこの望遠鏡で観測してきて、なにか興味深い発見はありましたか。
管理人:望遠鏡自体は様々な研究成果をあげ、その業績は公に発表しています。ただ、退任間際に気になる発見が…。
真鍋:何でしょう、気になる発見というのは。
管理人:彗星です、遥か彼方、太陽系の数百倍の距離、そこから太陽に向かって彗星がやって来ます。大体5000年周期で回ってくるのですが、通常の彗星にくらべて周期が異常に長い。
真鍋:周期が長い彗星は珍しいのですか。ハレー彗星も70年くらいでしたよね。
管理人:そうです、そんな長周期だと、太陽の重力圏から離脱しそうなものなんですが、これはどうもそんな気配もない。もしかすると人工的な力で動いているのではないかと思ったりもします。
真鍋:人工的…、宇宙人のつくった乗り物みたいな感じでしょうか。
管理人:宇宙レベルだと、5000年という距離はそんなに遠くありません。宇宙人が作ったにしては近すぎます。なにか別の要因なのかなと思いますが。
大雨の中、困惑する真鍋。遠くで稲妻がなっている。
管理人:では、雨も強くなってきましたので、私はこのあたりで帰るとします。もし話をもっと聞きたければ、夜の10時頃にここに来ていただければ、お話できると思います。
真鍋:了解、ありがとう。
去っていく管理人を見送る真鍋。そのとたん、黒い影が真鍋の背後に迫る。
謎の人:いい気なもんだな、そんな無防備な姿で夜中にうろうろできるなんて。日本が平和だった昭和時代の遺物の行動パターンだ。今の令和時代、無防備に歩き回ることは犯罪に近い。なにか武器を持っているのか。例えば棒手裏剣とか。
真鍋:なんだ、その声はニンジャ花咲。急に暗闇から話しかけたらびっくりするじゃないか。で、なんで、ニンジャ花咲は石垣島に来ているんだ。
じぇ:マスターが心配になったので、私がニンジャ花咲に頼んで石垣島に来てもらいました。ニンジャ花咲から良からぬ噂を聞いていたので。
真鍋:なんですか、その良からぬ噂というのは…。
花咲:単刀直入に言おう。敵対組織の攻撃だ。宮古島を拠点とする、NNAが動き出した。我々が所属するWNUに対抗する不穏な組織だ。NNAはNippon Ninja Association、世界にもいくつかあるローカルなニンジャを束ねる組織だ。ただ、このNNAはかねてから大胆な行動をする組織で、我々の穏健なWNUに対してなにかと敵対してくる、迷惑な組織だ。
真鍋:そうなんですね、しかし、またつまらんトラブルに巻き込まれ始めているのかな、私は面白いゲームを作りたいだけで、ニンジャ同士の抗争には興味がないんだが…。
花咲:そういいながら、君は自分のプロジェクトにニンジャクリムゾンという名前をつけたな。その時点で、ニンジャの呪縛が始まったわけだ。もう逃れられない運命と諦めてくれ。
真鍋:はいはい、仕方ないですね。諦めましょう。
花咲:流石に諦めがいいな、環境への適応力は十分に備わっている、クソゲー作って人気者になったクリムゾン真鍋らしい行動だ。
真鍋:わかりました、で、これから何をすればいいんですか。
花咲:NNAがどうやら石垣島の北の先端、平久保崎灯台を拠点に活動をしているらしい。そこに行ってみよう。
真鍋:わかりました、では、向かいましょう。
花咲:ヲイヲイ、なんで運転席に乗り込むんだ、クリムゾン真鍋。きみは荷台に横になって雨雲でも見ていてくれ、君の軽トラは二人乗り、私が運転して、じぇーんにナビゲータをやってもらう。だいたい、君の運転は下手で遅すぎる、横に乗っていてイライラするから、もっと運転技術を磨いてくれ。
はいはい、私の運転は亀より遅くナメクジより速いくらいのレベルですよ。
わかればよろしい、早速出発しよう。
ニンジャのくせに文明の利器である軽トラを移動手段に使う花咲に対して違和感をもちながらも、現状を受け入れるクリムゾン真鍋。次回は謎の組織、NNAとの戦いが始まるのか。