第21回:越前の呪いが炸裂か。

橿原神宮前のホテルに戻ったクリムゾン真鍋とレーサー岡谷。

真鍋:なかなか良いホテルだな、岡谷はんは泊まったことあるのか。

岡谷:ここは、昔は橿原ロイヤルホテルという名前で、このエリア一番の高級ホテルだったんだ。最近は、ザ 橿原ホテルと名前を変えて少し庶民的になったから随分泊まりやすくなった。

真鍋:それはありがたいことだな、私のような庶民には助かる。

岡谷:せっかく明日香に来たんだから、麻雀でもしまひょか。ワシの知り合いを大阪まで迎えに行ってもいいよ。ワシは三人打ちはやらんからあと二人連れてくるよ。

真鍋:麻雀でっか、今日は石舞台で踊る熊の幻覚みたり、キトラの亡霊をみたりとなんか気ぜわしい一日だった、こんな日に岡谷さんと麻雀してもボコボコにカモられるだけだ、悪いがワシは先に寝るから今晩は麻雀は勘弁してくれないか。

岡谷:そら、残念だがしかたないな。ではワシは明日香の山々を走りに行ってくるよ。このあたりは適度に路面が荒れてて、テクニックがいるから暇なときに練習しとかんとな。さっそくワシは走りに行ってくるよ、そのあとパチンコでもしてくるからクリムゾン真鍋はのんびりしといてくれ。

真鍋:了解、助かるよ。さすが岡谷さん、人徳者は決断が早いな。

轟音とともにレーサー岡谷が橿原神宮の周辺をRX-7が疾走する走り音が聞こえる。

真鍋:やれやれ、麻雀がなくなって助かった、以前、岡谷さんにありありルールで鳴きタンヤオドラ12の役満食らったときから、岡谷さんには全く勝てそうな気がしない。もしやるとしても、なしなしルール、三人打ちだな。では、今日も9%のハイボール500mlでも飲んで寝るとするか。

ありあり、なしなしとは、麻雀のルールである。最初に親になる人がルールを決める場合があり、その場合はメンバーの打ち筋をみて自分に有利なルールを決めるのが定石である。「出典:近代芸無辞典より」

ピロピロピロ、メッセージの届く音がする。

真鍋:おや、珍しい、チョモからのメッセだな。とれどれ。

チョ:艦長、大変だ。今テレビ見てたら、艦長が昔作ったデスクリムゾンが出てるよ、なんかワンナップとかいいながら、見たことあるタレントの人がデスクリムゾンをプレイしてるみたい。

真鍋:艦長ってなんだ…。まあ、お父さんと呼ばれるのも中小企業の雰囲気が溢れてよろしくないよな。戦艦ニンジャクリムゾンの艦長だから、まあ艦長でいいことにするか。

チョ:見逃した番組はここで見られるらしいよ。ハマスカ放送部って番組らしい。

真鍋:どれどれ、チョモが送ってきたこのアドレスをタップすると…。おお、出た出た。綺麗なおねーちゃんがデスクリムゾンをプレイしとる。時代も変わったものだな、発売した時の叩かれようから比べたら、こうやって地上波でデスクリムゾンの画面を見る時代が来るとは。

ハマスカ放送部

感動のあまり、酒が弱いくせにハイボールを一気飲みする真鍋。

じぇ:私の国でもデスクリムゾンは有名です。街に一つはあるゲームセンターでデスクリムゾンのムービーを見たことあります。ゲームセンターと言っても、家庭用のゲーム機を一時間いくらとかで貸してくれる、マンガ喫茶みたいなところなんですが。

真鍋:それは便利だな、家の近くにも出来てほしいものだ。

じぇ:なんでも、ドローンの操縦の訓練するのに、デスクリムゾンのパッドプレイが役に立つって聞きました、ドローンの操縦士は人気の職業ですから。

真鍋:おやまあ、そんな使い方もあるのか、確かにあの鬼のように難易度が高いデスクリムゾンをゲームパッドプレイでアッシムの館まで到達できれば、ドローンで敵艦船を攻撃することも簡単にできるだろう。

じぇ:あ、このカミナリって人、テレビで見たことあります。茨城弁を喋りながら早口で喋る人ですね、面白いですよね、この人たち。確か片方の人がもう一人の人をポカポカ叩く芸をする人ですね。

真鍋:じぇーんが知ってるとは、それはよかった。そのうちカミナリの御二方にも会うことが有るだろう、じぇーんがファンだってこと伝えとくよ。

じぇ:サインもらってきてください、「じぇーんさん江」、、、って書いてもらえると嬉しいです。

真鍋:細かい日本語をよく知っているな、じぇーんは。えを江と書くところは昭和の匂いがしてなかなか良いぞ。

チョ:艦長、なんかVTuberの周防パトラちゃんもデスクリムゾンのプレイ動画上げてますね。凄い、最後までクリアしてデスビスノスを倒したみたいだ。

真鍋:それはよいことだ、ここにアドレス張っておこう。

周防パトラ

ちょ:結構たくさんの人が見てるんですね、パトラちゃん。再生が10万回越えてるよ。

真鍋:そういえば先月くらいから、昔の知り合いからやたらと連絡が来るようになった。これもハマスカ放送部やパトラちゃんのお陰かな。

チョ:第三次デスクリムゾンバブルが始まったって感じですね。

真鍋:これは、きっと越前康介の呪いだろう、20年近く放置してきたから、越前様がお怒りになっていると見た。だから、ここに来て急にあちこちの動きが激しくなっていると言うことなんだろう。

チョ:越前の呪いはなかなか怖いですね。早く鎮めないと…。

真鍋:そのためにも早くゲームを作らないとな。それはそうと、ユニティちゃんを使って画面上でモーションを動かす作業は進んでるのか。

チョ:今日は滝に行って冷たい水を浴びながら精神を鍛えてきたから、そのうち動くと思うよ。

真鍋:麻布高校はなかなかおもしろい行事をやるんだな。滝行とか、毎年論文とか…。去年のテーマは遠藤周作だっけ。

チョ:遠藤先生の代表作、沈黙だね。さすがに素晴らしい作品だった。

真鍋:読んだことないが、私も読んでみよう。

チョ:沈黙の舞台になったと言われるのが、この黒崎教会堂。一度行ってみたいな。

真鍋:ニンクリ物語が続いている間は、あちこちに行けるはずだ。そのうちに訪問してみよう。

チョ:中学生のころから大学生みたいな生活を体験させてくれるのが麻布の理念らしい、江原素六先生の教えがいまも息づいているよ。

真鍋:なかなか楽しそうな学校生活だ、さすがに中学生時代の三年間、勉強しないでひたすら遊び続けたわけだから、チョモもそろそろ世界に貢献する作品を作らねばならん。

チョ:そうそう、サターン版デスクリムゾンも盛り上がってきたし、制作を頑張って進めよう。そろそろ人型キャラを本格的に動かそうと思うんだが。

真鍋:エコールに存在するモーションデータは3d studio maxのBIPファイルばかりだからな。これをユニディで動く形式に早急に変換する必要があるな。

チョ:最近はブレンダーってソフトが主流らしいよ、高機能なのにほとんどお金がかからないからかなり普及しているらしい。

真鍋:そうか、ではBIPファイルをバイオビジョン形式に変換する方法でも調べるとするか。

チョ:そこは滝に打たれながらいいアイディア思いついたから大丈夫。じゃあ、作業に入るからこれくらいで。

チョモとの話が終わるとあたりがまた、静けさを取り戻す。ハイボールを飲み干すクリムゾン真鍋。

ここ半年くらい急に忙しくなって目が回りそうだ、ということで、今日の夕方に見た三匹の熊の亡霊の話は無かったことにしよう。では、寝るとしよ。

おやすみなさい、マスター。

都合よく、都合の悪い話は無かったことにするクリムゾン真鍋。明日はまたレーサー岡谷とともに、明日香村を縦横無尽に走り回る、長い一日が始まるはずである。次回に続きます。